葉山の海岸通りにあるヴィンテージサイクルの専門店「葉山自轉車市場」。
お店の前にはずらりと自転車が並んでいますが、ひときわ目を惹くのが、大きな前輪を持つ「ペニー・ファージング」という自転車(販売価格 380,000円)です。19世紀後期には多く作られていたタイプの自転車になります。
とてもアーティスティックに感じますが、「僕、これで通勤しているんですよ」と店主の門脇大作さん。
葉山の海岸通りにあるヴィンテージサイクルの専門店「葉山自轉車市場」。
お店の前にはずらりと自転車が並んでいますが、ひときわ目を惹くのが、大きな前輪を持つ「ペニー・ファージング」という自転車(販売価格 380,000円)です。19世紀後期には多く作られていたタイプの自転車になります。
とてもアーティスティックに感じますが、「僕、これで通勤しているんですよ」と店主の門脇大作さん。
そう言うと、ひらりと乗って見せてくれました。「毎日乗っていると上手になるんですよ」とのことですが、この自転車が走っているだけで、違う国にトリップしたような気分に。
「クロスバイクよりも速いし、車輪が大きいからひと漕ぎの距離が大きいんですね。ゆったりと乗れるので、結構安全なんですよ」。
ちなみに、試乗車なので誰でも乗れるのだそう。「乗れるんだと分かると買っていただけるかな、と思ったんですけど、なかなか難しいですね(笑)」と苦笑いですが、現代でも普通に乗ることができると驚きを与えてくれました。
店内には所せましと自転車のパーツが並んでいます。扱うのは1995年以前の自転車たち。
中には1950年代のものなどもあり、現代では直せる自転車屋さんも限られているのだそう。
「今の自転車屋さんではなかなか古い自転車を直せないんですけど、古い自転車の愛好家っていうのはたくさんいるんです。そういう方が、直せる場所を求めて、遠方からも来てくださります」。
一度購入すると一生の付き合いにもなれる自転車。今の時代とは逆行するスタイルかもしれませんが、だからこそ愛も深まるというもの。
ちなみに、この日、お店にあった一番古い自転車は1890年代のフランスのロードレーサー(販売価格 600,000円)。
「フランスってすごく技術の進歩が早くて。第二次世界大戦以前の自転車っていうのはフランス車しかほとんど残っていないんです。今の性能に劣らないのはフランス車なんですよ」。
この店内に1890年に生まれたものが存在していると考えると、なんだか不思議な気分になります。
葉山自轉車市場では、お店の経営のかたわら、自転車のイベントも多く主催しています。イベントの直前は寝られない日も続くのだとか。最近はミニベロ(小径車)のイベントを開催したばかり。
「イベントの開催が売り上げにつながればいいんですけど、そううまくはいかないんですよねぇ(笑)」と言いつつ、明るく笑う門脇さん(右)とスタッフの柏木健太さん(左)。
ただ言葉の端々から「自転車が好き!」という愛が伝わってきます。ミニベロのイベントを開催したのも、「ミニベロが好きな人たちが一堂に会して楽しんでいる姿を見たかったから」と言います。自転車を愛する人たちへの情熱もとても強いのかもしれません。
最終的には「自分たちで自転車を作りたい」という門脇さん。自転車を愛する人が、一生…だけではなく、その次の世代にも受け継がれるような自転車を作る日はそう遠くないのかもしれません。
取材日 2024/12/06
Information
葉山自轉車市場
住所 神奈川県三浦郡葉山町堀内389
電話番号 090-6516-1882
営業時間 10:00~17:30
定休日 水曜日
アクセス 京浜急行バス「元町」から徒歩1分
URL https://www.facebook.com/VintageCyclisme/
Writerふくだりょうこ
大阪府出身、神奈川県の盆地住まいのライター。ゲームシナリオのほか、インタビュー、エッセイ、コラム記事などを執筆。読書とカメラ、うさぎが好き。
RECOMMEND