【連載】三浦大根命名100周年デザインPJ④ファッションデザイナー髙島さんと個性豊かな三浦の畑を巡る

Release2025.12.11

Update2025.12.12

【連載】三浦大根命名100周年デザインPJ④ファッションデザイナー髙島さんと個性豊かな三浦の畑を巡る

Release2025.12.11

Update2025.12.12

三浦大根の種まきから約1か月が経った、10月上旬。

この日は、三浦大根100周年記念プロダクト「三浦大根BAG」のデザインを担当してくださる、ファッションデザイナーの髙島一精さんと共に三浦の畑を巡りました。

三浦大根の取材を重ね、様々な生産者さんとお話をする中で出会ったのは、「同じ三浦市内でも、地域によって土質や環境は大きく異なる」という面白さ。そこで今回は、3つのエリアの農園を見学させていただき、三浦大根の成長の様子、各農家の畑の特徴や独自の工夫についてお話を伺いました。

最初に訪れたのは、9月に種まきの作業を取材させていただいた「やまさ園」。 大根の葉が根元から放射状に勢いよく伸び、地面を覆うように横へ横へと一面に広がっていました。

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初めてのおろ抜き体験!

種まきから約4週間後に行うのが、おろ抜き(間引き作業)。三浦大根の作業は一週間ほど前に終わっていましたが、畑ではちょうど「青首大根」のおろ抜きが真っ盛りでした。

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やまさ園の畑では、1ヶ所に2粒ずつ種をまく「二粒まき」。 芽が出なかったり、三浦特有の強い風で種が飛んでしまうこともあるため、三浦ではこの「二粒まき」や「三粒まき」が主流なのだそう。そして、形が良く栄養たっぷりの大根に育つよう、最終的には元気な苗を1本だけ選んで残す間引きを行い、栄養を集中させます。

やまさ園の吉田和子さんにコツを教わりながら、髙島さんもおろ抜きに初挑戦!

「大体ね、大きい方を残すんですよ」と、和子さん。

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「難しい~!」と言いながらも、手際よく作業を進める髙島さん。 作業の手を動かしながら、青首大根と三浦大根の葉っぱの形状や、感触の違いを一つひとつ確認している姿がとても印象的でした。

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小網代の絶景と、三浦大根に適した「赤土」に出会う

続いて訪れたのは、三浦半島の西側、小網代にある「マルイシファーム」。代表の石渡啓人さんにお話を伺いました。

三浦大根の畑があるのは、「生き物の楽園」と呼ばれる小網代の森と、相模湾の入り口である諸磯湾に囲まれた場所。晴れた日には富士山も望めるという、まさに絶景です。

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マルイシファームは、なんと鎌倉時代から先祖代々農業を営んでいるそうで、今回見せていただいた場所も、古くから受け継がれてきた由緒ある畑なのだそう。

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「田んぼを造成した『砂土』の畑は、キャベツの栽培には向いているけれど、土質を選ぶ三浦大根は育ちにくいんですよ。 でも、代々引き継いできたここの畑は『赤土』で、土が柔らかい。それに土が冷えにくいので、三浦大根を育てるのにとても向いているんです。」

マルイシファームは市内の様々な地域に畑を持っており、だからからこそ、地域の畑の特性がよく分かる。 「その土地に一番合ったものを育てる」という、石渡さんの柔軟な姿勢がとても印象的でした。

毘沙門の畑で出会った、三浦大根のもう一つの種「黒崎三浦」

最後に訪れたのは、三浦半島の最南端・毘沙門エリアにある「やまきちファーム」です。案内してくださったのは、2月の青首大根取材でもお世話になった、鈴木清光さん。(【連載】三浦野菜の作り手を知り、魅力を伝えるデザインプロジェクト 海と向き合いながら、愛情深く育てる

目の前には海が広がり、伊豆大島、そして東京湾を挟んで房総半島まで見渡せる大パノラマ。内陸の畑と決定的に異なるのは、「海風」です。毘沙門を訪れるたび、風の強さには圧倒されてしまいます。

畑を見せていただくと、種まきから1ヶ月が経った今も、風から三浦大根を守るために寒冷紗がかけられていました。

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「内陸なら間引きのタイミングで外すけれど、毘沙門では種まきから2ヶ月、葉っぱがパンパンになるまでかけています。ここは風が強いし、ウサギや鳥の被害から守るためにもね」と鈴木さん。

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寒冷紗を持ち上げてそっと見せてくれたのは、「黒崎三浦」という品種の三浦大根。 現在、三浦では農協が開発した「中葉3号」と、この「黒崎三浦」が二大主流。「黒崎三浦」は、毘沙門の畑から種を採取して開発したという説もあるのだそう。

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「種のルーツは本当かどうか分からないけれど、やっぱりここには『黒崎三浦』が合っていると思うよ。形が整った、綺麗な大根が毎年出来ますよ。」

かつてはそれぞれの農家が自家採種を行い、一升瓶に入れた種を車庫にぶら下げて保管するのが当たり前の光景だったそう。日常に溶け込み、 生活の一部として受け継がれていたからこそ、記録はあまり残っておらず、ルーツが少しミステリアスであることも、三浦大根の奥深い魅力なのかもしれません。

生産者との対話が、「三浦大根BAG」のヒントに

気が付けば、あっという間に夕方に。髙島さんの日々のものづくりは、産地や工場を巡り、まずは作り手と会うことから始まるそうです。ご自身が収集されている郷土玩具でも、気になる職人がいれば地方まで会いに行くのだとか。

今回のキックオフミーティングでも、「三浦大根を作っている生産者に会いに行きたい! そこから、形状を考えたい」とおっしゃっていたのが強く印象に残っています。

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帰り際、スケッチブックには早くも三浦大根のイラストと、バッグの形状のラフスケッチが!

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「食べてみたいけれど、大きくて重いのでどうやって持ち帰ろう?」と悩んでしまうこともある三浦大根を、機能的に、そして愉快な気持ちで運べるバッグが誕生します。どんな形に仕上がるのか、どうぞお楽しみに!

バッグの完成を楽しみに待ちつつ、次回は、三浦大根の「兄弟」たちをご紹介したいと思います。三浦大根を受け継ぐ、ユニークで美味しい兄弟たちが勢揃い。知れば知るほど面白い大根ファミリーの世界を、覗いてみたいと思います。

取材日 2025/10/6
撮影  角田洋一

Fashion Designer

髙島 一精/ Kazuaki Takashima

1973年 熊本生まれ。
文化服装学院を卒業後、株式会社イッセイミヤケに入社。
株式会社三宅デザイン事務所に移籍し「ISSEY MIYAKE」、「PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE」のデザインチームに参加する。
2005年に株式会社エイ・ネットから自身のブランド「Né-net」がデビュー。
派生ブランド「にゃー」とともに、国内外で多くのファンをつかむ。2020年に独立し、「This is not a cat.」と称した活動をスタート。ファッションデザインに留まらず、キャラクターデザインや作品制作など、共感でつながる人に届く距離感でものづくりを続けている。

www.kazuakitakashima.net

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髙島 一精/ Kazuaki Takashima

1973年 熊本生まれ。
文化服装学院を卒業後、株式会社イッセイミヤケに入社。
株式会社三宅デザイン事務所に移籍し「ISSEY MIYAKE」、「PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE」のデザインチームに参加する。
2005年に株式会社エイ・ネットから自身のブランド「Né-net」がデビュー。
派生ブランド「にゃー」とともに、国内外で多くのファンをつかむ。2020年に独立し、「This is not a cat.」と称した活動をスタート。ファッションデザインに留まらず、キャラクターデザインや作品制作など、共感でつながる人に届く距離感でものづくりを続けている。

www.kazuakitakashima.net

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Writerいとうまいこ

大学卒業後、大手家電メーカーで商品企画や展示に関わる。そのときの経験からテキスタイル(布)に関わる仕事をしたいと考え、2023年にテキスタイルのギャラリー「Casa de paño」を鎌倉で開業。展覧会やワークショップの企画に加え、三浦半島の豊かな自然や生き物、暮らしをモチーフにした布製品の商品企画を行っている。本企画は、三浦半島で暮らす人・営む人へのインタビューをもとに、もようのデザインを通して地域の魅力を再発見し共有する試みです。

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