城ヶ島大橋の入口近くにある「寿司元」には、少し自由で贅沢な時間が流れています。白木のカウンターを構えた昔ながらの寿司処ですが、どこかモダンに感じられるのは、ジャズの軽快な音色が店全体に心地よく響いているから。
城ヶ島大橋の入口近くにある「寿司元」には、少し自由で贅沢な時間が流れています。白木のカウンターを構えた昔ながらの寿司処ですが、どこかモダンに感じられるのは、ジャズの軽快な音色が店全体に心地よく響いているから。
店主・斉藤哲夫さんも真っ白な調理服ではなくハット&Tシャツ姿と、お店の自由な空気感を体現しています。
そんな「寿司元」で人気を集めているのは、ランチ限定「海鮮にぎり」(1,100円・税込)。にぎり7貫に巻物1本がついた一皿は、価格以上の満足感があります。
ネタは日替わりで、取材時は赤身のマグロ、昆布締めしたチダイ、いわし、あじ、というラインナップ。いずれも三浦半島近海で獲れた地物です。そして常連さんに人気の厚焼き玉子に、鉄火とかっぱの巻物が添えられます。
「私が若い頃は、にぎり6貫と巻物で280円でした」と話す斉藤さん。徐々に物価が高騰していく中で、斉藤さんの師匠は「そのうち1人前1,000円の時代がくる」と危惧していたそうです。しかし令和の今、ランチでも2,000円、3,000円という価格は珍しくありません。
「1人前1,000円」という師匠の言葉が深く記憶に刻まれていた斉藤さん。そこで敢えてこの時代に1,000円という価格設定にこだわり続けようと決めました。以来、「大変だよ」と言いながらも、近辺の漁港を自分の足で周り、価格と価値のバランスを取りつつ、自分が食べたいと思う、うまいネタを仕入れているそうです。
もうひとつ、斉藤さんがこだわっているのが、好きなジャズを流すために設置した音響設備です。
「お客さまの耳を疲れさせないように、真空管アンプで音をやわらかくしています。音が鋭すぎると自分でもうるさく感じてしまうので、耳心地の良い、柔らかく響かせる機材を選びました」
入口の左右に設置されているスピーカーにおいても妥協はありません。低音域を出す大型スピーカーの上に、ルーバー状の音響レンズを取り付けた高音域専用のホーンスピーカーを重ねることで、店内に音の粒立ちの良い、より臨場感のある音を響かせているのです。
寿司にジャズ。意外な組み合わせでも決断したのは、ある映画がきっかけだったそうです。
「題名も忘れた昔の映画で、なんの脈絡もないシーンでジャズが流れたの。そのちぐはぐさを見たら、音楽や寿司屋のイメージに囚われずに、好きなものを流せばいいんだって思えたんです」
伝統を礎にしながらも、自分らしい空気を店に吹き込んできた斉藤さん。にぎりの味わいも、音の響きも手を抜かず、どちらも丁寧にお客さまに提供しています。
取材日 2025/07/24
※掲載されている商品、価格、情報は取材時点のものであり、変更される場合がありますのでご了承ください。
Information

寿司元
住所 神奈川県三浦市向ヶ崎町14−19
電話番号 046-882-3838
営業時間 11:30~14:00/17:00~22:00
定休日 火曜
アクセス 京浜急行バス「城ケ島大橋」より徒歩2分
URL https://tabelog.com/kanagawa/A1406/A140603/14023521/

Writer小林有希
東京在住フリーライター/Web編集。2016年にアパレル企画兼バイヤーを辞めて、ライターに。 紙、WEB問わず企業PR、ファッション、アート、地域、建築、教育、働き方など多分野で執筆中。

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