どの街にも1軒はある、カレーのおいしいお店。逗子でいえば、駅から徒歩5分のなぎさ通り沿いにある「spice tree」をまっ先に思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
どの街にも1軒はある、カレーのおいしいお店。逗子でいえば、駅から徒歩5分のなぎさ通り沿いにある「spice tree」をまっ先に思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
週4日のみという少ない営業日にも関わらず、開店するやいなやあっという間に満席に。行列待ちも当たり前で、前を通りかかったご近所さんが「今日はいつもより列が短いな」とチャンスを狙って並ぶことも多いようです。
店は2014年にオープンし、今年で11年目に突入。店主の飯村政幸さんはキッチンカーの移動販売からスタートし、その後、鎌倉や逗子の知り合いの店で始めた“間借りのカレー屋”が口コミでじわじわと話題になり、逗子で店を構えることに。
お客さんたちのお目当ては、間借り時代から提供している「バターチキンカレー」(1,530円)。シルバープレートの上に、バターチキンカレー、豆のカレー、副菜、パパドが盛り付けられ、芳しいスパイスの香りとカラフルな彩りに食欲がかきたてられます。
「バターチキンカレー」といえばこっくり濃厚な味わいが主流ですが、「spice tree」はさらっと軽い口当たりが印象的。それには飯村さんのこんなこだわりが。
「僕が追求しているのは“お米に合うカレー”。インド料理店のようなナンで食べるバターチキンは濃い味付けが合うと思いますが、僕の場合は牛乳で軽めに炒めたり、トマトをたっぷり使って水分を多くしたりして、お米に合うように作っています」
トマトベースにカシューナッツとバターでコクを出した「バターチキンカレー」は、マイルドな辛さでじんわりと複雑なスパイスの香りを楽しめるひと皿。そのレシピの成り立ちは、飯村さんの生い立ちと修行時代の経験が影響していました。
「小さい頃からカレーが大好物で、おばあちゃんが作ってくれたカレーが僕の原点なんです。大学生になって将来なにかお店を持ちたいなとぼんやり考えていて、それでカレーを勉強してみようと神保町の『ボンディ』でバイトを始めました。最初のスタートがカレーライスの店だったし、カレーの原点はインドということもその頃はまだ知らなかったんです」
その後、独学で本を読んでいくうちに「インドを知らないとカレーを語れない」と思い、「ボンディ」を辞めて六本木の「デリー」で修行を始めたそう。
「『デリー』には、インド人もいればネパール人やバングラデッシュ人のシェフもいて、まかないでそれぞれの国のカレーを作ってくれるんです。同じ豆のカレーでもインド人よりネパール人のほうがうまいな〜とか、野菜の副菜はやっぱりインド人が上手だな、と思ったり。国ごとの個性や味を学べたことは、今作っているカレーに生かされていると思います。よくうちのカレーは何系?って聞かれるんですが、インドやネパールの要素がいろいろ入ってるから括れないんです。だからうちは“カレー屋です”と答えてます(笑)」
店の営業日は週4日ですが、月曜日から水曜日は仕込みに当てているため、飯村さんはほぼ無休でカレーとひたすら向き合っています。一人で作るため用意できる量は1日40〜50食ほど。
基本的には12時から14時30分までのランチ営業のみですが、「町の人たちとの交流を大切にしたい」と、日曜日のみ地元に住む人たちがふらりと立ち寄れる夜営業も行っています。
ランチタイムは黙々とキッチンに籠る飯村さんですが、日曜日の夜はカレーとビールを満喫する地元のお客さんたちと、カウンター越しに他愛のない会話を楽しむ姿も。そんな逗子らしいゆるっとした時間が、多忙な日々のリフレッシュと明日への活力に繋がっているそうです。
取材日 2025/7/25
※掲載されている商品、価格、情報は取材時点のものであり、変更される場合がありますのでご了承ください。
Information
spice tree
住所 神奈川県逗子市逗子7-6-25
電話番号 046-845-9300
営業時間 12:00〜14:30(日曜日のみ不定期で夜営業あり)
定休日 月・火・水曜
アクセス JR横須賀線逗子駅から徒歩5分
URL https://spicetree0316.blogspot.com
Writer坂井あやの
雑誌やweb媒体で食・酒・旅にまつわる記事を執筆。町場の酒場から星付きレストランまで、おいしい料理とお酒があると聞きつければフットワーク軽く全国へ足を延ばす。ナチュラルワインとサウナと野球が、日々の癒し&楽しみ。
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