丸々と太った猫が闊歩するのどかな金田漁港。毎週日曜日に金田湾の朝市が開かれる建物の2階に「レストラン金田」はあります。
一番人気はランチタイムの「おまかせB定食」(1,980円)。金田湾の魚介類を使っており、刺身、煮魚or焼き魚、揚げ物、その他一品がセットになっています。どれにしようか悩んだら、これに決まりです。
内容はネーミングの通り「おまかせ」です。
この日は、お刺身がアジ、イナダ、マグロ。タチウオの焼き魚、野菜のかき揚げ、そして同店の名物である生ワカメのしゃぶしゃぶでした。生ワカメのしゃぶしゃぶは冬季限定メニューです。
アジのお刺身は新鮮でコリコリ。野菜のかき揚げは、オーダーが入ってから揚げるのでホクホクです。かき揚げの具材も「おまかせ」で、この日ジャガイモ、ニンジン、タマネギ、エノキ、明日葉。
絶品なのが、タチウオの焼き魚。身がふっくらとしています。塩がきいていて白身の旨味を引き立てます。
「タチウオは1本釣りなので傷が入ってないの。キラキラしてるでしょ? 上のほうを焼き魚、下はお刺身にして。魚が嫌いなひ孫も『ばぁばのタチウオはおいしいね』ってよく食べるのよ」と、店主の岩野光子さんは目を細めます。
レストラン金田がオープンしたのは1991年。地元生まれの岩野一男さんが料理人を務めていました。
しかし、2019年に病気が発覚。4カ月間の闘病の末、天寿を全うされました。一男さんが病床に伏している間、お店を守ったのが妻の光子さんでした。
「私は他の飲食店をやっていたけど、このお店には出ていなかったの。魚のおろし方も何もわからなくて。従業員に聞きながら『お父さんが好きなお店を守りたい』という一心でした。今思えば、よくやったわよね」と、光子さんは笑います。
御年79歳の光子さん。孫が15人、ひ孫が11人いらっしゃいます。平日は従業員と2、3名体制で、週末は調理師免許を持つ息子さんや栄養士のお孫さん、娘さんらが手伝いに来てくれます。
「『ばぁば、働かなくなったらダメになっちゃう』って、子どもも孫も、やめろとは言わないです。働いていると楽しくて。常連さんもいてくださって。身体が動くうちは細々とでも続けます」。
光子さんの手によって食べられる金田漁港の恵み。ご夫婦の思いが定食に詰まっていました。
取材日 2025/1/17
※掲載されている商品、価格、情報は取材時点のものであり、変更される場合がありますのでご了承ください。
Information
レストラン金田
住所 神奈川県三浦市南下浦町金田2020-5 金田漁港内海業センター2階
電話番号 046-886-1721
営業時間などの情報 木~土曜11:30~14:30ごろ、日曜5:45~7:30ごろ、11:30~14:30ごろ ※食材の都合で閉店時刻が早まることあり
定休日 月~水曜 ※この他、臨時休業あり
アクセス 京浜急行バス「岩浦(いわぶ)」徒歩1分
URL https://www.instagram.com/kaneresu_1219/
Writer田辺 紫
神奈川県在住コピーライター。2001年2月より総合情報サイト「All About」で横浜ガイドをつとめる。「横浜ウォッチャー」として、見て、聞いて、撮って、食べて、実際に体験した横浜情報を発信。
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