【連載】旬の三浦野菜を美味しくいただく~大根~⑤太陽と蒸気が感動モノの甘味に「蒸かし切り干し大根」

Release2026.01.03

Update2026.01.03

【連載】旬の三浦野菜を美味しくいただく~大根~⑤太陽と蒸気が感動モノの甘味に「蒸かし切り干し大根」

Release2026.01.03

Update2026.01.03

干したそのままを食べて感動する切り干し大根に出会ってしまいました

やまさ園の直売所で売られている「蒸かし切り干し大根」の人気は噂に聞いていたので、「手間暇かかるのになぜ蒸すようになったのですか?」と和子さんに伺ってみると、「60年以上前に嫁入りした時にお姑さんに教えられた通りに作っているの。先に干さないで蒸してみたり、いろいろやって比べてみたけれど、干す・蒸す・干すの順で繰り返すと、甘みと旨みが全然違うの!」と畑からの帰りの車の中で話してくださいました。

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朝うかがった吉田さんの大根畑からは富士山がくっきり見えて、生まれ育った静岡を思い出すこの畑が一番好き、とおっしゃる和子さんでしたが、今期のこの畑の大根は異常に雨が少なく土が締まってしまったため、大根が変形してしまう「コブラ」と呼ばれる現象がおきて出荷できないそう。

「でも、味は変わらず美味しいんです。これが捨てられてしまうのがやりきれない」と孫の真以さんが嘆いていました。これは是非ともいただいて帰って、切り干し大根にしてみたい、と何本か抜いていただきました。

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その後、ご自宅に戻り「蒸かし切り干し大根」の工程を見せていただくことになりました。

切り干し大根は小さい大根1本800gならば、約1/10の80gの切り干し大根になるそうです。

是非作ってみて欲しいので、作り方を順に追ってみます

蒸かし切り干し大根作り

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短冊切りの幅に切り込みを入れる

① まず大根の皮を薄くピーラーでむき、5cmの輪切りにしてから立てて1cm幅くらいに下まで切ります。この時、和子さんは端は切らずに少し残しています。

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短冊の厚みに合わせてザクザク切っていくと…

さらに切り目を横向きにして端から2〜3mmの薄切りにして短冊切りにします。残った端っこは他に合わせて薄切りにして、同じ様な短冊にします(つまりは5cm×1cm、厚さ2mmの短冊切り)。

忙しい農作業の合間の切り干し大根作り、短時間で大量に効率よく切るための和子さん独特の切り方からも、いかにいつも忙しく立ち働いてきたかがよくわかります。

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② 切った大根をザルに広げて太陽の下で1日天日干しにします。

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③ 一旦干した大根を蒸し器で10〜15分蒸します。蒸すときは重なっても大丈夫。

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④ 蒸した大根を重ならない様にザルに広げ、からりと乾くまで1日から2日天日干しにします。

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天気が2日続く日を見計らって一気に続けて作業をすることが大切です。

虫や鳥に狙われるので、何段かになった干物用の干し網を使うもよいかもしれません。

出来上がった切り干し大根は保存袋などに密閉して冷凍庫で1年間保存できます(冷凍庫の臭いがつかない様に袋は2重にした方が良いかも)が、大根1本分ならば冷蔵庫保存であっという間に食べてしまうこと、必至です。

出来立てなら、干したものをそのまま摘んで食べても激ウマです。なんなら酒のつまみにもなるかも。そのまま食べるつもりならば半干し(セミドライ)もいいかもしれません。

作る途中で最も驚いたのは、1日干した大根を10分蒸したものを摘んで食べてみたときです。あまりの甘みに、思わずその辺りにいるスタッフ全員に配ってしまいました。凝縮した自然の甘みと旨みがこれほど強いとは予想外。この甘みと旨みが次の天日干しで、さらにギュッと濃縮されるわけですから、和子さん特製の「蒸かし(ふかし)切り干し大根」が美味しい理由がわかります。この途中の甘みだけは作らなくては味わえないので、是非、体験してみて欲しいなと思いました。お休みに親子で手作り、なんていうのはいかがでしょうか。

これだけ覚えれば鉄板。一生使える切り干し大根の基本のレシピ

ほっておいたらいつまでも摘まんでしまいそうな「蒸かし切り干し大根」ですが、せっかくの保存食ですから、いつでも作れる切り干し大根を使ったレシピを2つ教えていただきました。

作りおきにうってつけ、お弁当にもおすすめの煮物

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切り干し大根があれば、冷蔵庫にある残り野菜や同じ乾物のひじきなど、その時々にある食材を組み合わせていつでも作れる、常備したいおかずです。

一度覚えてしまえば、野菜はにんじんに限らず、れんこん、ごぼうなど、きのこがあれば何でも入れて。油揚げは厚揚げに代えたり、ちくわや桜えびなどでも味出しになりますし、なければ入らなくても大丈夫。水気が出ない崩れないものなら何でも組み合わせてください

今回は彩りもよく旨みや栄養もたっぷりの理想的な組み合わせでご紹介します

 <材料>

切り干し大根50g  ひじき(乾燥)3g  にんじん30g  生椎茸2枚 油揚げ11/2枚 みりん大さじ4 しょうゆ大さじ5 砂糖大さじ3 油少々

① 切り干し大根はさっと洗って少なめの水につけて戻します。ひじきもザルに入れてさっと洗ってから水につけて戻します。どちらもあまり長くつけると旨みが逃げるので、つめを立てて切れるくらいになれば水気をきっておきます。

 ② にんんじんは輪切りにして2mmくらいの細切りに、椎茸は半分に切って1〜2mmの薄切りに、油揚げは横半分に切り、2mm幅の細切りにします。

③ 鍋に油を入れてにんじん、切り干し大根、椎茸、ひじき、油揚げの順に加えて材料をよく炒め、全体に油が回ってにんじんがしんなりしてきたら調味料を加えてごく弱火にし、ふたをして煮ます。最後は煮汁がほとんどなくなるまで詰めますが、好みで少し煮汁が残るように仕上げるのもOKです。

調味はその時々の材料や好みで加減してください。

夕飯のおかずにたくさん食べたい時にはもっと薄味にしても良いですし、れんこんやごぼうのなどの固いものを入れたり、にんじんの量が多かったり太めに切った時には、調味量とともに水か酒を大さじ2〜3加えてふたをして蒸し煮にすれば、すぐに柔らかくなります。ところどころで味見をしながら仕上げてみてください。

ごく薄味でなければ、密閉容器に入れて冷蔵庫で1週間くらいは保存できます。作り慣れてしまえば、いろいろな材料で作れる上に調理時間も短く、冷蔵庫にあれば安心の1品になる、覚えておきたい一生もののレシピです。

切り干し大根のもっとも簡単で手軽な食べ方

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朝、味噌汁の具が何もないわ、という時には、さっと洗った切り干し大根をハサミでちょんちょんと適当な長さに切って、煮干し、水とともに鍋に入れ、柔らかくなるまで煮ます。あとは味噌を溶き入れるだけ。

もしあれば、乾燥わかめ、大根の葉や茎、緑の野菜の切れ端をみじん切りにして仕上げに加えても・・・。

切り干し大根からも甘みと旨みが出るので、なんなら煮干しなし、水で煮るだけでも構いません。

切り干し大根は量も長さも煮上がりの固さもお好みでどうぞ。こんな感じで中華スープの具などにも使ってみてください。

取材日:2024年3月10日

撮影:角田 洋一

Writer戸叶 光子

幼い頃から食べるのが大好きで、卵かけごはんは「黄身を崩さず自分でさっと混ぜながら食べたい」(当時は母親がよくかき混ぜて子ども達のごはんにかけてくれるのが普通だった)、「いちごは絶対潰さないで」(その頃のいちごは酸っぱくて、砂糖と牛乳をかけて潰して食べるのが定番だった)などなど、食べ方に変なこだわりをもつ子供だった。 大学卒業後は料理編集者の仕事に就き、その後、料理番組の制作にも40年ほど携わって食こそ人生の日々を過ごしてきた。キャンプ、バレエ、猫を愛し、料理、食材の取材はライフワークにしたいほど好き!

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