長谷寺からほどなく近く、由比ガ浜大通り沿いにある「鎌倉ワイナリー」。
2022年、鎌倉に初めて誕生したワイナリーです。鎌倉産のブドウや、全国のブドウを取り寄せ、鎌倉で醸造したワインをいただくことができます。
昼は地元の人たちが集うカフェ、夜はガラス越しに醸造所を眺めながら料理を楽しめます。
今回、ピックアップしていただいたのは「鎌倉ワイン ピノノワール・メルロ2023」。夜の営業時間(19:00〜23:00)にグラスワイン(1杯700ml・1,580円)で提供しています。使用しているブドウは、自社で管理している鎌倉市関谷産と七里ガ浜産のピノノワール・メルロです。
すでに通常販売は終えている貴重なワインですが、店頭にてグラスワインであれば味わうことができるとのこと。その味は実際にお店で味わってみてください。
そのほか、長野県安曇野産など他県産のブドウで醸造した自社製ワインの販売も行っています。パウチで100mlから量り売りで購入可能です。
鎌倉ワイナリー創業者の夏目シンゴさん。
2012年、電気精密機器メーカーでエンジニアとして働いていたときに家族と鎌倉へ移住。日々を過ごしているうちに鎌倉という街が大好きになり「何か恩返しをしたい」という強い思いを抱きます。
そこで思い至ったのが、「鎌倉でブドウを育てて、ワインを造る」ということ。もともとシニアソムリエの資格を持っていた夏目さんにとっては自然な発想でした。
しかし、そう簡単にブドウを育てることはできませんでした。
「鎌倉市役所の農政課に、意気揚々と行き『遊休農地をブドウ畑に再生しました。さらに農地を貸してください』と、言ったら行政指導を受けてしまって……。自分は農家ではなく会社員だったので、農地を使用する資格がなかったんですね」。
ここで潔く全てのブドウの苗木を抜き、更地にして、再出発。ワインのためのブドウは樹齢の長さがとても大事。つらい決断でしたが、夏目さんはより事業に情熱を傾けていきました。
2016年から、横浜の果樹農家で研修を始め、地道に鎌倉で農地の開墾を続けていった夏目さん。
地元の農家さんに助けられながら、自身で重機を操作して開墾。今も進行形で農地を広げつつあります。
現在では、鎌倉関谷地区、七里ガ浜地区には夏目さんのぶどう畑が広がり、ピノ、シャルドネ、メルロ、リースリング、フランなどといったブドウを育てています。今後もさらにブドウ農地は広がっていく予定です。
「2019年に本格的に鎌倉のブドウで造ったワインが200本でき、飲んでみたら完全に偶然ですが、自分が求めていたワインの味だったんですね。それでワイナリーを開業しようと決心しました。自分もソムリエなので良し悪しを公平に判断できます。そのとき作ったワインは今でも大切にとってあります」。
熱意と偶然が折り重なり、夏目さんのワイン造りはこれからも続いていきます。
取材日 2024/10/22
Information
鎌倉ワイナリー
住所 神奈川県鎌倉市長谷1-11-18
営業時間などの情報 11:00〜17:00(L.O.16:30)19:00〜23:00(L.O.22:30)
定休日 水・木曜日
アクセス 江ノ島電鉄「由比ガ浜駅」徒歩4分
URL https://kamakurawine.base.shop/
Writerふくだりょうこ
大阪府出身、神奈川県の盆地住まいのライター。ゲームシナリオのほか、インタビュー、エッセイ、コラム記事などを執筆。読書とカメラ、うさぎが好き。
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