三浦市・初声町で400年続く伊藤農園の「完熟かぼちゃ」が、今まさに旬を迎えています。
1日1000個も出荷されながら、即完売するこのかぼちゃの魅力は、スプーンを入れた瞬間から伝わってきます。
とろけるような食感、凝縮された甘みはまるでスイーツのよう。ひと口で、“かぼちゃ”のイメージが覆されることでしょう。
三浦市・初声町で400年続く伊藤農園の「完熟かぼちゃ」が、今まさに旬を迎えています。
1日1000個も出荷されながら、即完売するこのかぼちゃの魅力は、スプーンを入れた瞬間から伝わってきます。
とろけるような食感、凝縮された甘みはまるでスイーツのよう。ひと口で、“かぼちゃ”のイメージが覆されることでしょう。
収穫したてのかぼちゃの鮮やかな果肉と、その瑞々しさ。果汁のように見える汁を口に含むと、ほのかな苦み。これがかぼちゃの「デンプン」です。
かぼちゃに含まれるデンプンは酵素の働きによって徐々に糖へと変化します。この「糖化」と呼ばれる現象が進むほど、かぼちゃ本来の甘みが引き出され、より濃厚で深みのある味わいになるのです。
カットされたかぼちゃを選ぶ際には、二つのポイントがあるとのこと。「一つは、果肉のオレンジ色が濃く鮮やかであること。そしてもう一つは、種の周りに鮮やかな緑色のリングがしっかりと入っていること」と伊藤さんは教えてくれます。
伊藤さんイチオシは、じゃがバターならぬ「かぼバター」です。
その作り方は簡単でシンプル。くし形に切ったかぼちゃから種とワタを取り除き、ラップをして電子レンジ(500Wで約2分)で加熱。熱々のかぼちゃに、お好みのバターをひとかけ乗せるだけです。
バターの塩気がじわりと溶け出し、かぼちゃの濃厚な甘さと溶け合う瞬間は、まさに至福のひととき。
一口含んだ瞬間、思わず「ん!!!」
今まで味わったことのない、特別な甘さとなめらかな食感に驚きます。
濃厚な甘みが口いっぱいに広がり、その後にバターの豊かなコクが追いかけてきます。この甘みと塩味の絶妙なハーモニーに感動。
かぼちゃ料理の定番といえば、煮物。
伊藤農園のかぼちゃを美味しく煮る秘訣は「煮すぎない」こと。余熱を使うことで煮崩れを防ぎ、甘みを最大限に引き出しながら芯まで火を通します。
しっかりと味が染み込んだ煮物に仕上がります。
夏にはもう一つの楽しみ方があると伊藤さんは言います。それは、冷蔵庫で冷やした「冷やし煮物」。ひんやりと冷えたかぼちゃの煮物は、甘みがぎゅっと凝縮します。
食欲が落ちがちな夏の日に、この涼やかな一皿があれば、心も体も一気にパワーチャージ。かぼちゃの甘みと、とろけるような舌触りを思う存分堪能できる一品です。
収穫を終えたばかりのかぼちゃたちは作業場にずらりと並べられています。磨かれた後、大きさごとに分類され、整然と並べられています。
最盛期を迎える6月下旬からは1日に800~1000玉、軽トラック2台分ものかぼちゃを収穫し、130箱もの出荷作業に追われる日々が続いています。
三浦市初声で約400年続く伊藤農園 伊藤克己さんはかぼちゃ栽培に最も力を入れ、手掛ける品種は30種類以上に及びます。
「野菜の中でも、最も品質と味に差が出やすいのはかぼちゃです。だからこそ、かぼちゃ栽培は面白い」と話す伊藤さん。
「伊藤農園のかぼちゃ」としてブランド化され、大手種苗メーカーからも高く評価されるのは、親蔓1本仕立てというこだわりの方法で30日間の栽培後、さらに15日かけて畑で熟成させる「完熟」への徹底したこだわり。
伊藤さんは農業高校を卒業後、代々続く農業の道に進みました。
しかし、35歳の時、頼りになるお父様が突然この世を去りました。伊藤さんに計り知れない衝撃を与え、同時に農家ならではの困難な局面に直面することになります。
「想定した上で、何かをやっておかないと、急な事態に直面した時に困ってしまう」
栽培方法から販売方法まで大きく変革し、これまで作っていたかぼちゃを極めることを決意しました。天候や様々な条件に左右される路地栽培において、高品質で安定した量を出荷するため、日々の作業や環境条件をすべて詳細に記録し続けました。
長年にわたるこの膨大なデータ蓄積と経験が、どのような状況下でも『上質』で『確実』に作り続けることを実現し、「伊藤農園」への揺るぎない信頼へと繋がっています。
「ピカピカのかぼちゃをみると我が子のようにかわいいですね」
伊藤さんの手によって、一つ一つ丁寧にブランドシールが貼られていきます。
伊藤農園の技術の高さは、国内の有名種苗メーカーである「サカタのタネ」や「雪印種苗」の試験品種栽培を任されるほど。中には伊藤農園で生まれ、そのまま名前が付けられて世に出るかぼちゃも数多くあります。
「サカタのタネ」の通販では、「伊藤農園のかぼちゃ」として販売されるほどの確固たる地位を築き、日本全国だけでなく、遠くニュージーランドの種苗会社からもブリーダーが訪れるなど、その技術は世界からも注目されています。
まだ世に名前がついて販売される前の試験品種の段階からかぼちゃを育て続け、その可能性を世に送り出しているのです。
伊藤さんの原点は、横浜のアンテナショップでのワゴン販売でした。
お客様の「美味しかった!」「もっとこんな野菜はないの?」という声に応え、栽培品種が180種類にも増えた経験が、今の伊藤農園の原動力となっています。
「いつか、すべてを顔の見える販売にしたい」
伊藤さんの目標は、単なる販売戦略に留まりません。お客様に直接野菜を届け、対話することで、より深い信頼関係を築きたいという思いがあります。
「生産者だけでなく、営業まで手掛けないと、これからの農業は続けられない」と話す伊藤さん。昨年できたことが今年もできる保証はない、という路地栽培の厳しさを知るからこそ、常に高品質を追求し、お客様に評価されるブランドを築き上げることに、緊張感と喜びを感じています。
伊藤農園のかぼちゃは、収穫後、予約注文から順次発送されます。かぼちゃの収穫は7月末まで行われ、8月のお盆ごろまで発送が続く予定です。
直接注文や伊藤農園直売所のほか、「サカタのタネ」や「安心堂」のオンラインショップ、横須賀・逗子のヨークマートなどで購入が可能です。
この夏、伊藤農園の情熱が詰まったかぼちゃを、ぜひご家庭でお楽しみください。
家業の傍ら、三浦市消防団長という重責も担う伊藤さん。また各地の小学校や団体向けに農業体験や授業を実施し、三浦の農業・食・自然の魅力を伝えています。
多忙な日々の中で、心身の健康を保つ秘訣は、休息をしっかり取り、メリハリをつけて仕事に臨むこと。
「この仕事は体力勝負ですからね」と笑う伊藤さんにとって、仕事の後のビールは最高のひとときです。
取材日 2025/6/21
※掲載されている商品・情報は取材時点のものであり、変更される場合がありますのでご了承ください。
Information
伊藤農園
住所 神奈川県三浦市初声町和田2730
電話番号 046-888-2486
アクセス 京急線三崎口から京急バス「赤羽根」下車徒歩3分
URL https://miura-shokusai.net/member/5553
Writerうみのとなり
ライター歴5年 「横須賀っていいな」「行きたいな、住みたいな」と思ってもらえる情報を発信しています。 地元の美しい自然・歴史・地域のあたたかさと魅力を伝えたい!Yahoo!ニュースライター 500件以上取材実績あり。地域クリエイター月間MVA2024年11月、7月、2023年7月連続受賞。
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