地元良品JOURNEY三浦半島篇と鎌倉のテキスタイル研究所Casa de pañoとのコラボ企画「三浦野菜デザインプロジェクト」。いよいよスイカの収穫です。
7月は、三浦市内に広大な畑を持つ森勘農園さんで大玉スイカの収穫を取材しました。
Release2025.07.26
Update2025.07.31
Release2025.07.26
Update2025.07.31
地元良品JOURNEY三浦半島篇と鎌倉のテキスタイル研究所Casa de pañoとのコラボ企画「三浦野菜デザインプロジェクト」。いよいよスイカの収穫です。
7月は、三浦市内に広大な畑を持つ森勘農園さんで大玉スイカの収穫を取材しました。
「今年は雨が少なかったので、病気も少なくて最高だよ!三浦は恵まれていて、他の地域に比べて雨が降らない日が不思議と多いんですよ。」
大玉スイカの収穫が始まったと聞き、早速スイカ畑を訪れると、森勘農園 代表の森晴夫さんが笑顔で迎えてくれました。畑に広がる緑の葉の間から、大きくて立派な縞模様のスイカをひとつひとつ丁寧に収穫していました。
日中の畑ではスイカの内部も高温になり鮮度が落ちやすいため、気温が一番低い朝のうちに収穫します。スイカ作りは時間との勝負。交配も、収穫も、大切な作業はすべて日の出と共に始まります。
収穫の目安は交配からおよそ約45日、そして、実に栄養が行き渡った証である「枯れた巻きひげ」が手掛かりになります。
ですが、最終的な決め手となるのは、長年の経験がものをいう「音」の聞き分けです。
「高い音がするでしょ? これはまだ若くて、実がしっかり詰まりきっていない証拠だよ」と、教えてくれました。
収穫のサインは「ボンボン」と響く澄んだ音。素人の耳にはその違いを聞き分けるのは至難の業で、まさに職人技です。
逆に「ボコボコ」と低く鈍い音がすれば、熟しすぎて内部に空洞ができているサインかもしれません。この空洞があるスイカは、通称「ボコ玉」と呼ばれています。熟しすぎだけでなく、皮の成長に果肉が追いつかないことで発生する現象ですが、意外なことに、果肉が柔らかく甘みが強いとされ、直売所ではあえて選んで買う「通」もいるんだそう。
もぎたてのスイカは、一つ一つ丁寧にトラックに積み込まれていきます。
そして溢れるほどの大玉スイカを積んだトラックは、スイカの磨機のもとへ向かいます。
収穫されたスイカたちが、次々と吸い込まれていく「スイカ磨機」。
畑で日焼けしないようにまとっていた白い粉(石灰)が、高速回転する柔らかなブラシにもまれるうちに、みるみるうちに落ちていきます。そして最後には、ツルツルのスイカに変身します。
スイカがゆるやかな滑り台を転がり落ちると、その先には重量選別機が!瞬時に重さを図り、「2L」「3L」「4L」と音声でサイズを教えてくれ、仕分けをお手伝いしてくれます。
1日に約1500個ものスイカを収穫する森勘農園にとって、この機械はまさに「縁の下の力持ち」。導入してからかれこれ40年以上も現役で活躍しているのだそうです。
4月にスイカの苗を植えるところから取材をさせていただき、約3ヶ月半。 多様な国籍の若い従業員を率いる代表の森さんですが、取材中、いつもメンバーの働きを心から褒めている姿が、印象に残っています。
「自分だけが成功するんじゃだめ。従業員にとって働きやすい環境を作り、信頼関係が生まれることで、たくさんの美味しいスイカが育つんだよ」
森さんのその言葉を裏付けるように、大玉スイカの生産が減る農家が多い中、若い力に溢れる森勘農園では収穫量が年々増えているそうです。
家族構成の変化で小玉スイカが主流になっても、森さんが大玉を作り続けるのには理由があります。「この大玉ならではの甘さを、たくさんの人に味わってほしい」。取材中、その想いを何度も聞かせてくれました。
今年の夏は、作り手の情熱が詰まった、甘くてシャリシャリの三浦の大玉スイカを、ぜひ味わってみてください。
取材日 2025/07/10
写真 角田洋一
Writerいとうまいこ
大学卒業後、大手家電メーカーで商品企画や展示に関わる。そのときの経験からテキスタイル(布)に関わる仕事をしたいと考え、2023年にテキスタイルのギャラリー「Casa de paño」を鎌倉で開業。展覧会やワークショップの企画に加え、三浦半島の豊かな自然や生き物、暮らしをモチーフにした布製品の商品企画を行っている。本企画は、三浦半島で暮らす人・営む人へのインタビューをもとに、もようのデザインを通して地域の魅力を再発見し共有する試みです。
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