山盛りのひき肉炒めが香ばしく、思わず箸を差し込み崩したくなります。スープは町中華らし赤茶色。一口レンゲでいただいてみると、優しい辛味で心がホッとリラックスできます。たっぷりの野菜炒めと太めの縮れ麺で、すっかりお腹も満足です。
ここはかつてまぐろ漁で栄えた小さな港町・三崎町(みさきまち)。
京急「三崎口」駅からバスで約20分、都心から気軽に行ける観光地として人気です。そんなまちづくりに一役買った立役者・石渡道雄さんの「中華料理 ポパイ」があります。
日が沈んだ入船すずらん通りを照らす看板。営業時間は夜の23時までで、お客さんは夜の方が多いと言います。ほろ酔いの地元の方が締めの一杯を求めて、こののれんをくぐるのでしょう。
店主の石渡道雄さんは三浦食品衛生協会の会長も務め、地域おこしの立役者でもあります。
「船乗りが減ったから、今度は観光で活気を作り出していきたいと思って、いろいろなことをやってきました。話題になったのは日本一長い鉄火巻き作りでしょうか。商店街に長いテーブルを出して、ぐるっと鉄火巻きを並べてみんなでつくりました」
2006年から始まった「三崎まぐろ鉄火巻き日本一寿司づくり大会」は、鉄火巻きの長さを毎年更新し、最終的には全長555メートルに。会場の都合で10回を区切りにイベントは幕を引きました。
「高齢化による三崎町の人口減少が心配なんですよ。住民を増やすには三崎町のことを知ってもらう必要があると思っていて、まずは観光で賑わう町になって欲しいと思っています」
コロナの間はなにもできず歯がゆい思いをしてきたそうですが、5年間休止に追い込まれていた三浦の「食」をテーマにしたイベント「みうら夜市」が2024年から再開。ここでも石渡さんは活気作りに尽力しています。(下の写真はイベント時の様子)
「移住者は大歓迎です。特に子育て世代の方とか。三崎町を観光して、暮らしてみたいなと思ったら、地域ごとに相談できる人を紹介しますよ」
移住者の受け入れは地方によって住人の反応が分かれるところですが、三崎町で暮らしてる方たちは移住者に対して前向きだそう。
三崎町を暮らすように旅して、帰りたくないと思ったらのれんをくぐってみましょう。香ばしい「特製辛味ラーメン」と地域おこしの立役者が迎えてくれるはずです。
取材日 2025/03/03
※掲載されている商品、価格、情報は取材時点のものであり、変更される場合がありますのでご了承ください。
Information
中華料理 ポパイ
住所 神奈川県三浦市三崎1-17-1
電話番号 046-881-2484
営業時間 17:00〜23:00(平日) 12:00〜2300(土日)
定休日 水曜
アクセス 京浜急行バス「日ノ出」徒歩2分
Writerコヤナギユウ
幸せになることだけを考えて生きている旅と遊びの散文家で写真家。スキンダイビングが趣味で、カナダ観光局「オーロラ王国ブロガー観光大使」、チェコ親善アンバサダー2018、神社検定3級。本業はグラフィックデザイナー。
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