【久里浜】“なっちゃん”がつなぐ家族の味。山口幸昌さん夫妻の「和菓子 幸和」

Release2025.12.25

Update2025.12.25

【久里浜】“なっちゃん”がつなぐ家族の味。山口幸昌さん夫妻の「和菓子 幸和」

Release2025.12.25

Update2025.12.25

京急久里浜駅から歩いて数分。ふんわり香ばしい香りに誘われて立ち寄りたくなる「和菓子 幸和」。

夫婦で営むこのお店では、家族の名にちなんだ“なっちゃん”のどら焼きが人気です。毎朝焼き上げられる皮とやさしい餡の香りが、久里浜のまちに今日も幸せを運んでいます。

和菓子店「幸和」の看板商品である「どらやき」

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横須賀市久里浜に、かわいらしい和菓子店さんがあると聞いて伺いました。出迎えてくれたのは、山口幸昌さんと妻の和世さんのご夫婦です。

「和菓子 幸和」に入ると、まず「どらやき」が目に入ります。種類は4つ。

江戸時代に日本を訪れ、開国のきっかけとなったペリー提督の焼印が押されたどらやきは「つぶあん」(205円)です。地元で人気の散歩コース「はなのくに」に因んで花の絵柄が押されたどらやきは「あんバター」(227円)。そして「KURIHAMA」と押されたどらやきはダジャレが効いた「栗どらやき」(259円)。最後にお店のトレードマーク「なっちゃん」が描かれた「チョコあんどらやき」(260円)です。

ふわっとした生地にそれぞれの餡が調和した、なんとも優しい風味のどら焼きに地元ファンが多いのも頷けます。

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どらやきは独立の証

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店名の「幸和」は、山口幸昌さんと妻の和世さんから1字をとって名付けたおふたりのお店です。

2019年に念願の独立を果たし久里浜にお店を構えました。50歳を迎えた幸昌さんはじつは和菓子屋さんの3代目。お父さまは現役の和菓子職人として横須賀市鴨居でお店を構えています。さらにお祖父さまが経営していたお店は親族の方が継ぎ、横須賀市汐入で評判の店として活躍しています。

「のれん分けではないんですよね」と、幸昌さん。

「親父は、のれん分けで鴨居にお店を開きました。私は親父と求めるものが違ったので、独立しました」

独立の象徴は、どらやきを毎朝焼くこと、そして「あんバター」です。ご夫婦で神奈川県小田原市を旅行したときに「あんバター」に出会い、感動。

幸昌さんは「6年前に独立したとき、すぐに挑戦しました。念願のどらやきです」と晴れやかな笑顔を浮かべました。

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朝焼きどらやきは怪我の功名⁉

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「和菓子 幸和」のどらやきはすべて「朝焼き」です。その日に焼いた新鮮さが売りなのですが、じつに痛々しい事件がきっかけでした。

「餅つき機で、右手を挟んでしまったんです」ほら、指が曲がらないでしょ? と幸昌さんは職人らしい分厚い手を見せてくれました。

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「治療中、指を使った複雑な作業はできません。ただ和菓子づくりを止めるわけにはいかない。(怪我をしていたとしても)今いちばんおいしくできるやり方とは何か。そのやり方に向かって全力で踏み切ろうと考えた結果、道具を使ったどらやきの皮作りなら続けられそうだ、と気付きました」

そして続けていくうちに発見がありました。

どらやきはその日の朝に焼くと一番おいしい! 朝焼きどらやきが生まれた瞬間です。

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「和菓子 幸和」がある場所は、久里浜駅から少し離れた飲食店が立ち並ぶ通り沿いにあります。

「お酒を飲んだ帰りに甘いものが食べたくなる人も多いみたいで、和菓子がよく売れるんですよ。冷たい『どらアイス』は夜によく売れますね」とのこと。

ひとつひとつ丁寧に仕上げられるご夫婦の和菓子を、ぜひ味わってみてください。

取材日 2025/9/30

※掲載されている商品、価格、情報は取材時点のものであり、変更される場合がありますのでご了承ください。

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左上、シャインマスカット大福(小)(320円)。右、ナガノパープル大福(小)(320円)。幸和マスコットキャラクター「なっちゃん」まんじゅう(230円)。※今季はシャインマスカットは販売終了。冬季はみかん大福を販売中。

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幸和マスコットキャラクター「なっちゃん」まんじゅう(230円)をはじめとした、かわいい「おまんじゅう」たち。

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山口幸昌さんのご実家である「鴨居山口家」の名が入った番重(ばんじゅう)。

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「どらアイス」(350円)。定番のどら焼きにアイスを挟み、トッピングも追加できる冷たいどら焼き。 

Writerしゅんどう

三浦半島在住。「カピバラ写真展」をよこすかポートマーケット、ソレイユの丘などで開催し、自身はカピバラ紙粘土の造形、カピバラ絵本制作を行っている。

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