逗子銀座商店街にある「菓子こよみ」は、地元では言わずと知れた人気の和菓子屋さん。白い暖簾に木枠のガラス戸の外観は、まるで小料理屋のような品のいい佇まい。木と白で統一されたシンプルな空間で、ひときわ目をひくのがどら焼きです。
逗子銀座商店街にある「菓子こよみ」は、地元では言わずと知れた人気の和菓子屋さん。白い暖簾に木枠のガラス戸の外観は、まるで小料理屋のような品のいい佇まい。木と白で統一されたシンプルな空間で、ひときわ目をひくのがどら焼きです。
朝10時の開店前から行列ができるのもおなじみの風景で、そのお客さんたちのお目当ては“どら焼き”。オープンから1時間も経たないうちに売り切れることも多い、地元で評判の逸品です。
「こよみ」の「どら焼き」(1個200円)は、ふんわりとしっとりが絶妙なバランスであんこも生地も甘すぎず、何個でも食べられそうな飽きない味わい。そのおいしさの秘訣を、店主の粂谷知志さんにお聞きしました。
「ふんわりだけどスポンジ生地にならないように、かといって固くなりすぎずの中間を心がけています。ケーキのスポンジはいっぱい泡立てた気泡の入った生地を作りますが、それだとどら焼きの生地じゃないんです。やわらかいけどスポンジではない。それがどら焼きがどら焼きたるところ。小麦粉は風味豊かで、小豆は皮がやわらかく味の濃い北海道産を使用。あんこには甜菜糖を使って、くどくない甘さに仕立てています」
お店の代名詞とも言えるどら焼きですが、粂谷さんは看板商品になるとは思っていなかったそう。
「実は毎日悩んで苦しんで作っています。ほかのお菓子は20年も職人をやっていればある程度同じように作れるようになりますが、どら焼きは毎日違うんです。気温、湿度も日によって違うし、鉄板の温度が1度変わると仕上がりが全然変わってきます。昨日と全く同じものを作れと言われても作れない。だから今でも、どら焼きは自信が持てなくって(苦笑)」と、意外な本音が。
どら焼きは開店前に1回50個、それが売り切れたらもう1回50個を焼いて、週末は1日3回作ることも。「1個目と50個目のおいしさが一緒になるように」と、いつでも作りたてを届けられるよう一度に数を作りすぎないことを貫いています。
そうした和菓子職人としての心構えは、赤坂の老舗「塩野」での修行時代に教わったと言います。
「『塩野』で大福を作っていた時に、“その一つ一つを自分の分身と思って作りなさい。その分身を自分が結婚する相手のご両親に渡すものと思って作れば、必然的に魂も心もお菓子にこもる”と教わりました。毎日、その言葉を胸に丹精込めて作っています」
作り手の真心が伝わる「こよみ」の和菓子。一度食べたら大切な人にも贈りたくなる、心が温かくなるおいしさをぜひ一度味わって。
取材日 2025/8/7
※掲載されている商品、価格、情報は取材時点のものであり、変更される場合がありますのでご了承ください。
Information
菓子こよみ
住所 神奈川県逗子市逗子1-7-4
電話番号 046-876-8226
営業時間 10:00〜14:00
夏季のみ喫茶営業 金・土・日曜13:00〜16:00(15:30LO)
定休日 火・水曜
アクセス JR横須賀線逗子駅から徒歩5分
Writer坂井あやの
雑誌やweb媒体で食・酒・旅にまつわる記事を執筆。町場の酒場から星付きレストランまで、おいしい料理とお酒があると聞きつければフットワーク軽く全国へ足を延ばす。ナチュラルワインとサウナと野球が、日々の癒し&楽しみ。
RECOMMEND
RANKING