【横須賀】昭和の記憶が動き出す。鉄道模型展「アーク」併設のジオラマ館体験

Release2026.03.16

Update2026.03.17

【横須賀】昭和の記憶が動き出す。鉄道模型展「アーク」併設のジオラマ館体験

Release2026.03.16

Update2026.03.17

衣笠の静かな住宅街に佇む鉄道模型とレンタルレイアウトの店「アーク」。2025年、店主・野中直樹さんが、長年の夢だった「ジオラマ館」を新たにオープンしました。

横須賀と横浜、人生が重なる「共感の風景」

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ジオラマ館の扉を開けると、そこは時空が凝縮されたような不思議な空間です。店主の野中さんが10年以上もの歳月をかけて構想し、自らの手でDIY改装まで手がけたこの館には、横須賀の風景を中心としたジオラマが展示されています。そこに再現されているのは、野中さんの人生と、横須賀・横浜の歴史が色濃く反映された「共感の風景」です。架空の街のモデルは、店主の野中さんが若かりし頃を過ごした横浜の「新杉田」や「杉田駅」周辺のイメージがベースとなっているそう。

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広がる風景を形作るのは、その多くが「紙」から作られた建物(ストラクチャー)たちです。既製品に頼らず、一から素材を切り出して作る「フルスクラッチ」の手法が取られています。これらは材料費こそ抑えられますが、気の遠くなるような手間と時間が注ぎ込まれていて、完成品にはない独特の温もりとリアリティを放っています。

記憶の断片を繋ぎ合わせた「心の地図」

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かつて久里浜にそびえ立っていた「3本煙突」や、今はマンションへと姿を変えた「貨物駅」、そして日本遺産でもある田浦のトンネルなどが、1980年代(昭和60年頃)の空気感そのままに再現されています。

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金谷港と久里浜港を行き交う「東京湾フェリー」の旧型船や、港の情景も丁寧に作られています。「ああ、昔はこうだったね」と、一瞬にして自らの記憶へと引き戻されます。ジオラマ館は2フロア構成。1階は「融合と懐旧」をテーマに、どこか懐かしく、それでいて現代的な感性が溶け合う情景が広がります。2階は「叙情と郷愁」のフロア。

現在工事中のジオラマレイアウトエリアでは、テラリウムとジオラマを融合させた、試みが進行中。実際に水を流し、本物の植物を取り入れることで、模型の常識を超えた“動的で生命感あふれる情景”が生み出される予定です。公開を目指して、日々手が加えられています。

ジオラマ館は入館料制で、平日440円、ハイシーズン550円、土日祝日660円。この価格で時間を忘れて没入できる特別な空間を体験することができます。

記憶と情熱が交差する「ジオラマ館ジオラマ館 ~小さな六つの物語~」

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衣笠・佐野町の住宅街にある鉄道模型とレンタルレイアウトの店「アーク」は、2001年の開店以来、多くのファンに親しまれてきました。店主・野中直樹さんは2025年9月、店舗に隣接して「ジオラマ館」をオープンしました。構想の始まりは2016年。タウンニュース横須賀版での連載を通じて作品が増える中、「いつかジオラマたちが息づく場所をつくりたい」という思いが芽生え、長年温めてきた夢が形になりました。

夢を叶えるために

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野中さんは本業のかたわら、ほぼ毎日ジオラマ館づくりに時間を注いでいます。長年の細かな作業で手はかなり酷使され、思うように動かないこともあるそうですが、それでも「完成させたい」という気持ちで作業を続けています。さらに現在は「文芸復興」という団体を立ち上げ、ジオラマの魅力やものづくりの楽しさを次の世代へ伝える場にしたいという夢も抱いています。

どこを切り取っても、懐かしさが立ち上がる情景

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「素敵な景色を見たとき、どこをフレームに収めるか、空と地面の比率をどうするか考えるのと同じです」と野中さんは話します。無限に広がる景色を、限られたスペースの中に「どこか懐かしい場所」として共感してもらえるよう落とし込む作業。それが野中さんの模型作りの真髄です。

鉄道模型の世界では、風景そのものを「ジオラマ」、そこに線路が加わり列車が走る状態を「レイアウト」と呼び分けます。ジオラマ館では、私たちの止まっていた記憶までもが再び動き出すような、優しい時間が流れています。ジオラマファンはもちろん、風景に心を預ける時間を求めている人も、記憶がそっと動き出す情景に会いに行ってみてください。

取材日 2025/11/29

※掲載されている商品・情報は取材時点のものであり、変更される場合がありますのでご了承ください。

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赤い電車の情景エリアでは、京急沿線の懐かしい風景を眺めることができます。QRコードを読み込むとGoogleマップで場所が表示されます。

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各テーマに合わせた空間が広がります。

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今にも車やバスが動き出しそうで、街のざわめきまで聞こえてくるようです。見ているだけで胸がワクワクしてきます。

Writerうみのとなり

ライター歴5年 「横須賀っていいな」「行きたいな、住みたいな」と思ってもらえる情報を発信しています。 地元の美しい自然・歴史・地域のあたたかさと魅力を伝えたい!Yahoo!ニュースライター 500件以上取材実績あり。地域クリエイター月間MVA2024年11月、7月、2023年7月連続受賞。

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