【三浦】トラック一台分を間引く!三浦半島発「おろぬき大根」は秋限定の幻の味「加藤農園」

Release2025.10.17

Update2025.10.17

【三浦】トラック一台分を間引く!三浦半島発「おろぬき大根」は秋限定の幻の味「加藤農園」

Release2025.10.17

Update2025.10.17

秋の風が三浦半島を渡り始めた9月下旬、畑一面には、青々とした大根の葉が広がっています。冬の食卓を賑わす、あの立派な大根が大きく育つまでの間に、農家さんは気を抜けない、大切な仕事があるのをご存知ですか?それが、密かに旬を迎える「おろぬき大根」の収穫です。

収穫量が“はんぱない”!おろぬき大根とは?

もっと見る

大根の種をまいてから約1か月。

土から芽が顔を出し、葉がすくすく育ち始めた頃に行われるのが「おろぬき」作業です。

成長途中の大根を間引いて、残した株に十分な栄養とスペースを与える大切な工程です。

加藤農園では、1か所に2粒ずつ種をまきます。発芽率を高め、土を押し上げて芽を出しやすくするためです。そのうち、より元気な株を残し、もう一方を抜き取ります。

農家によっては3粒まくところもあれば、逆に最初から1粒だけにして作業を減らすところもあり、やり方はさまざまです。

もっと見る

畑一面の作業を終えると、トラック一台分にもなるほどの大量にのぼります。

にもかかわらず、市場に出回らない理由は、おろぬき大根が「販売を目的に作られていない副産物」だから。

本来の目的は、大きく育てる大根(本大根)の生育環境を整える「間引き」作業です。副産物であるおろぬき大根は、一般的な流通ルートで販売することが難しいのです。

多くの農家さんは、この美味しい副産物を自宅で食べるほか、知り合いにあげたり、直売所で販売します。それでも、残ってしまった場合はやむを得ず廃棄になります。

おろぬき大根は、地元の人にとっては短い期間だけ楽しめる「季節の小さな楽しみ」です。

味わいは素朴、ちょっぴり辛味も

もっと見る

茹でて醤油や胡麻油をかけた一品は、素朴ながらも、畑の恵みをそのまま感じられる味わいです。

「最初の一口は“うまい!”と感じるけれど、ちょっと苦いかも」という声もあれば、「その苦味がクセになる」という声も。

浅漬けや味噌汁はもちろん、炒めもの、チーズたっぷりのグラタンも抜群の美味しさです。

もっと見る

私のお気に入りは、ベーコンとニンニクを炒めること。

シャキシャキとした若々しい大根に、ベーコンの旨味と塩気、そしてガツンと効いたニンニクの香りが絡み合います。ビールや日本酒のおつまみとしても、ご飯のおかずとしても大活躍間違いなしの、素朴ながらも滋味深い炒め物です。

大根栽培が始まりました

もっと見る

「おろぬきが始まると、“ああ、夏が終わったな、秋が来たな”って思います。農家にとっては季節を教えてくれる作業です」

そう話すのは、三浦市初声で「加藤農園」を営む加藤正人さん。

畑で抜かれる小さな大根たちは、市場に並ぶことはほとんどありません。

しかし、農家にとっては欠かすことのできない存在であり、季節を告げる合図でもあるのです。

農業の工夫と大変さ

もっと見る

おろぬき作業は立ちっぱなしではなく、乗用の小型作業車に座って行います。畑の溝幅に合わせて調整できる台車に座り、後ろへ下がりながら3列分の葉を抜いていくという方法。単純そうに見えて、実は根気のいる重労働です。

苦労は鮮度にもあります。おろぬき大根は収穫後すぐにしおれてしまい、2時間もすれば“くたっ”としてしまうほど。翌日には黄色く変わってしまうこともあります。だからこそ、その瞬間に味わう新鮮さは格別です。

大根作りを支える「おろぬき」の存在

もっと見る

「おろぬき」の作業が終わると、いよいよ畑は本格的な成長期を迎えます。間引かれたことで十分な栄養とスペースを得た大根たちは、ぐんぐんと力強く太っていきます。

種を植えてからおよそ3カ月。

秋風が心地よくなる頃には、立派に育った大根として出荷の時を迎えます。煮物に、おでんに、サラダにと、食卓を豊かに彩る冬の主役です。

三浦の秋の知らせ役を務めるおろぬき大根。

小さな存在に込められた農家の努力と季節の物語を、次に大根を手に取ったときに、少し思い出してみてはいかがでしょうか。

(※野菜の直接の個人販売は行っておりません。「ヨークマート久里浜店」もしくは「野菜の里 須軽谷」にてお買い求め下さい)

取材日 2025/9/22

※掲載されている商品・情報は取材時点のものであり、変更される場合がありますのでご了承ください。

もっと見る

シーダーテープ 青い部分が種です。農協に株間・粒数をカスタムオーダーします。

もっと見る

おろぬき前の畑の様子。元気いっぱいに大根の芽が成長しています。

もっと見る

おろぬき作業後の畑。込み合った葉が取り除かれ、株間に日光が十分に届くようになります。

Writerうみのとなり

ライター歴5年 「横須賀っていいな」「行きたいな、住みたいな」と思ってもらえる情報を発信しています。 地元の美しい自然・歴史・地域のあたたかさと魅力を伝えたい!Yahoo!ニュースライター 500件以上取材実績あり。地域クリエイター月間MVA2024年11月、7月、2023年7月連続受賞。

関連記事

RECOMMEND

【三浦】加藤農園の種まきから密着!台風・豪雨を乗り越えて育つ、大根の芽に込めた想い

2025.10.10

【三浦】加藤農園の種まきから密着!台風・豪雨を乗り越えて育つ、大根の芽に込めた想い

【三浦】ヤギに会える直売所「マルニ須原農園」絶品ナスのこだわりと農家レシピ

2025.09.08

【三浦】ヤギに会える直売所「マルニ須原農園」絶品ナスのこだわりと農家レシピ

【三浦】一度食べたら他のナスには戻れない 須原農園こだわりの「実生ナス」とは?

2025.09.01

【三浦】一度食べたら他のナスには戻れない 須原農園こだわりの「実生ナス」とは?

【三浦】星型・ハート形きゅうり!インスタ映えする加藤農園のデコ野菜

2025.08.09

【三浦】星型・ハート形きゅうり!インスタ映えする加藤農園のデコ野菜

【三浦】鎌倉時代から続く加藤農園 黒皮スイカと甘酸っぱいメロンの挑戦

2025.08.02

【三浦】鎌倉時代から続く加藤農園 黒皮スイカと甘酸っぱいメロンの挑戦

【三浦】1日1000個完売!伊藤農園のとろ甘完熟かぼちゃがすごい理由

2025.07.07

【三浦】1日1000個完売!伊藤農園のとろ甘完熟かぼちゃがすごい理由

人気記事

RANKING

No.1

【横須賀】300種の観葉植物とケーキに和む!植物ショップカフェ|cocos farm

2025.10.08

【横須賀】300種の観葉植物とケーキに和む!植物ショップカフェ|cocos farm

No.2

【横須賀】鰻×卵焼き×コシヒカリの“幸せすぎる”天空のおむすび 「おむすびゆら」

2025.10.06

【横須賀】鰻×卵焼き×コシヒカリの“幸せすぎる”天空のおむすび 「おむすびゆら」

No.3

【逗子】生地に舌鼓!薪窯で焼き上げる「自家製チーズとしらすの絶品ピッツァ」

2025.10.05

【逗子】生地に舌鼓!薪窯で焼き上げる「自家製チーズとしらすの絶品ピッツァ」

No.4

【逗子】チーズが伸びるホットサンド「ツナメルト」が人気!美女と野獣がテーマのBelles cafe

2025.10.06

【逗子】チーズが伸びるホットサンド「ツナメルト」が人気!美女と野獣がテーマのBelles cafe

No.5

【三浦】ジャムのような甘さで予約殺到!樹上で完熟させる”濃厚いちじく”「大井農園」

2025.10.03

【三浦】ジャムのような甘さで予約殺到!樹上で完熟させる”濃厚いちじく”「大井農園」

No.6

【不動産】三浦半島に移住するならこの人に相談。海町暮らしのコンシェルジュ「ナカムラ商會」

2025.10.12

【不動産】三浦半島に移住するならこの人に相談。海町暮らしのコンシェルジュ「ナカムラ商會」

No.7

【葉山】の小さなスペイン酒場「スペインバル哲」シェフ山方哲也さんの絶品イカスミパエリア

2025.10.11

【葉山】の小さなスペイン酒場「スペインバル哲」シェフ山方哲也さんの絶品イカスミパエリア

No.8

【横須賀】山上大輔さんが作る唯一無二の
スカジャン「ドブ板コーバスタジオ」

2025.02.25

【横須賀】山上大輔さんが作る唯一無二の スカジャン「ドブ板コーバスタジオ」

No.9

【三浦】農家らしくない農家!チャラ夫さんが育てる300品種の完熟いちじく|大井農園

2025.10.09

【三浦】農家らしくない農家!チャラ夫さんが育てる300品種の完熟いちじく|大井農園

No.10

【三浦】食感と旨みが格別!希少銘柄豚の「ロースカツプレート」|とんかつCAFE

2025.10.04

【三浦】食感と旨みが格別!希少銘柄豚の「ロースカツプレート」|とんかつCAFE