【北鎌倉】常連客と店主が育てた“溜まり場”古民家カフェ「侘助」

Release2026.03.04

Update2026.03.04

【北鎌倉】常連客と店主が育てた“溜まり場”古民家カフェ「侘助」

Release2026.03.04

Update2026.03.04

静けさが増す北鎌倉の古民家を改造したカフェ「侘助」は、40年以上、この土地の歴史を眺めてきました。

夜遅くには上質な音、そして菅村睦郎さんとの会話とともに、スイーツだけでなく、お酒も一緒に楽しめます。

「仕掛けずに見守る」菅村睦郎さんと「侘助」の日々

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カフェ「侘助」のオーナー、菅村睦郎さんが北鎌倉に定住してはや35年が過ぎようとしています。

夜な夜な一癖も二癖もある常連客が集う「侘助」に魅せられて、店を守ってきた日々。菅村さんにはひとつの確信があります。

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「人が人を作る」

「侘助」は菅村さんの努力だけでできた店ではないし、常連客だけで作ったものでもない。この土地に住む人たちが交流し、その熱量が支えてきた「溜まり場」です。だからこそ、菅村さんは管理人の役割を引き受けてきました。

ときに浪曲やフラメンコ、あるいは出版パーティのようなイベントを開くこともありますが、すべてお客さんからの提案で行われてきました。

こんなことができるのではないか。こんなことをしたい。いまも昔もお客さんの閃きが「侘助」を輝かせています。

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2016年の大改装は、お客さんからの提案だった

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2016年に行われた店内の改装。きっかけは、造園業を営む常連客から「侘助には裏庭がある」という情報を知ったことでした。そこは菅村さんが「見ないようにしていた」ゴミ置き場でした。

「壁を取り除けば明るくなるのに」

常連同士の会話を聞いた菅村さんは改装を決意しました。

常連客が一致団結して裏庭を片付け、造園業者が新しく庭を造ること。石材と樹木の選定でなるべくメンテナンスフリーを目指しましたが定期的な手入れは必要です。

「おれがナマケモノでなにもしないって知ってるから(笑)」と、常連の皆さんが今でも自主的に手入れに来てくれていると言います。

イベントや改装など大ごと以外にも、常連客はさまざまな形で店作りに参加しています。

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「Bowers & Wilkins」のスピーカー

たとえば、店の音楽。いまある数百枚のCDストックはすべて常連客が持って来たもの。

いろいろな人が「この店に似合うだろう」と考えて持って来たもの全体が「侘助らしい音楽」として機能しています。

菅村さん自身が好きなのはエディット・ピアフやモーツァルト。しかし、店には自分で買ったCDは1枚もないのだそうです。

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「オレは愛想よくないけどさ、お客さんが親切で」なかなか閉店できない夜の「侘助」

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北鎌倉の飲食店は日が暮れると早々に店仕舞いしてしまいます。ここ以外に、夜、地元の人たちが集まって呑む場所があまりありません。

「お酒は、1種類ずつだけど、たいていのものは揃えています。食べものもそれなりにあるんだけど、メニューには書いてないかな」と言って出してくれたのは、生ハムとチーズの盛り合わせクラッカー付き(850円)と赤ワイン(600円)の組み合わせ。ボリューミーでゆっくりと楽しめます。

その日のメニューについては「なにがあるか尋ねてくれたらいい」とのこと。

とはいえ、深夜帯のお客さんは九割九分が常連客。作家や編集者、アーティスト、職人など、ディープな人たちが集まってきます。

「スゴい人たちでね。よく海外に行ってるから言葉もわかるし、事情にも通じている。先日、外国の女の子が東京や鎌倉のごちゃごちゃした感じがイヤだといってここに来てくれたんだ。オレは愛想よくないけど、お客さんたちが話しかけてくれて、その子は楽しい時間を過ごしたみたいだよ」

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右が菅村さん。左は前オーナーのシゲさん。

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取材日 2025/10/27

※掲載されている商品、価格、情報は取材時点のものであり、変更される場合がありますのでご了承ください。

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「チーズケーキ」(450円)と「ホットコーヒー」(500円)。セット価格は800円。

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入り口を入ってすぐ左にあるL字型のテーブル席。出窓から外が見えます。天井近くにあるのはBowers & Wilkinsのブックシェルフスピーカー

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昔、物置だったスペース。この奥にライトアップされた裏庭が見えます。テーブルは映画監督・小津安二郎邸にあった台所の床板を加工して作ったもの

Writer深川岳志

フリーライター。兵庫県生まれ、東京都杉並区在住。IT入門系のほか、取材もの全般。ライトノベルの校正も手掛ける。ふだんは小説ばかり読んでいる。著作は「プログラマの秘密」「プログラマの憂鬱」ほか。

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