逗子駅から延びる街のメインストリート、逗子銀座商店街にある「風ら坊」は“旅する居酒屋”がコンセプト。手書きのメニュー表には、紙に収まらないほどの品数がびっしり。三浦の鮮魚や野菜をはじめ、熊野や糸島、さらには小笠原まで。全国各地の食材を使った創作料理の数々が、食いしん坊の心を躍らせます。
逗子駅から延びる街のメインストリート、逗子銀座商店街にある「風ら坊」は“旅する居酒屋”がコンセプト。手書きのメニュー表には、紙に収まらないほどの品数がびっしり。三浦の鮮魚や野菜をはじめ、熊野や糸島、さらには小笠原まで。全国各地の食材を使った創作料理の数々が、食いしん坊の心を躍らせます。
アナグマ、イノシシ、カンガルーなど珍しいジビエ料理をいただける店としても食通たちの間で知られ、県外からここをめがけて訪れる人も珍しくありません。
「旅と人が好き」と話す店主の天野友さんは、「旅行先でも観光地に行くより食材の生産者に会うことが好きで、話したり、仕事を見たりするのが趣味でそれがお店のメニューにも繋がっています」とのこと。そんな「風ら坊」らしい逸品が、小笠原諸島の父島で出会った“海亀の煮込み”です。
「父島にはこれまで3回訪れましたが、2回目の時にウミガメ料理を出している居酒屋の店主からウミガメを少し分けてもらったんです。そこからウミガメ漁に興味がわいて、漁のシーズンにまた訪れたんです。現地でいろいろな人に知り合いにウミガメの漁師がいないか聞いて回って、そしたら雑貨屋さんの奥さんの旦那さんが漁師だよって教えてもらって。そこからウミガメ漁を見せてほしいと直談判。亀の解体も少し手伝わせてもらいました」
その解体後に、漁師たちと一緒にウミガメの刺身や煮込みを食べた体験が「海亀煮」(1,000円)のメニュー誕生のきっかけに。こうした現地での“数珠繋ぎ”で会いたい人にたどり着く過程も、天野さんが旅に魅了される醍醐味なのだとか。
「煮込みに使うのは赤身の切れ端や肺や卵管、腸や胃袋などの内臓系。それらを亀から出る水分と脂のみで蒸し煮に。足すのは酒と醤油だけで至ってシンプルな調理法ですが、亀自体にすごい旨みがあるから十分おいしくなるんです」
例えるならもつ煮込みの味わいに近いですが、臭みもなく食べやすく、ほのかな塩みのある独特の深い旨みが初体験の味わい。お酒と一緒にちびちび呑りたくなります。
ウミガメは乱獲を防ぐため年間135頭の捕獲頭制限があり、漁師も少ないことから手に入れることがとても困難な希少な食材。ですが、天野さんは父島の漁師から毎年1頭買い付けて冷凍保存し、通年「海亀煮」を提供しています。
「風ら坊」では珍しい美味に出会えるだけでなく、天野さんが訪れた旅先の風景や人との出会いまで追体験できる、非日常を味わう時間を過ごせます。
取材日 2025/7/25
※掲載されている商品、価格、情報は取材時点のものであり、変更される場合がありますのでご了承ください。
Information
風ら坊
住所 神奈川県逗子市逗子1-6-5FUJIビル2階
電話番号 046-890-2470
営業時間 17:30〜23:00(フードLO22:00、ドリンクLO22:30)
定休日 月曜(不定休あり。SNSで確認)
アクセス JR横須賀線逗子駅、京急線逗子葉山駅から徒歩5分
URL http://foulabo.com
Writer坂井あやの
雑誌やweb媒体で食・酒・旅にまつわる記事を執筆。町場の酒場から星付きレストランまで、おいしい料理とお酒があると聞きつければフットワーク軽く全国へ足を延ばす。ナチュラルワインとサウナと野球が、日々の癒し&楽しみ。
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