【横須賀】0.1度を操る焙煎職人。田村英治さんが生む「Tsukikoya」の究極の一杯

Release2026.01.23

Update2026.01.23

【横須賀】0.1度を操る焙煎職人。田村英治さんが生む「Tsukikoya」の究極の一杯

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究極の焙煎方法

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焙煎機の前に立つと、緊張感すら漂う火力調整。温度計を見つめながら、0.1度の変化すら見逃さずに焙煎を進めていきます。
「深煎りの場合、仕上げるまでは膨らませすぎず、最後に一気に火力を入れてふっくら仕上げます」
そう話しながら、ふっくらと膨らんだ深煎り豆を手に取って見せてくれました。その豆は、美しい艶と立体感をまとっています。焙煎とは、生豆を加熱し、香り・甘み・コクを引き出す特別な工程。アミノ酸と糖が反応する「メイラード反応」で香ばしさが生まれ、糖が焦げる「カラメル化」で苦味と深いコクが育ちます。さらに、水分が抜け、内部のガスによって豆が膨らむ「ハゼ(爆ぜ)」が起きることで、青々しい生豆が豊かな香りを持つコーヒー豆へと変化していきます。この複雑な化学変化と物理変化を正確にコントロールすることこそ、焙煎士の腕の見せどころです。

相棒はドイツ製の焙煎機

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田村さんが信頼を寄せるのは、ドイツの老舗メーカー・PROBATのドラム式焙煎機。全国のコーヒーを飲み歩いた結果、「自分の好きな味を出せる焙煎機だった」ことから、この機械を選びました。
一般的には、予熱でしっかり熱を溜め、投入後の温度変化を見守り、乾燥で水分を抜いてベースを作り、1ハゼ前後の火力調整で味の個性を決定づけ、排出・急冷で味を固定するという流れです。
しかし、田村さんの焙煎はさらにその先を行きます。

焙煎の真っ最中は“0.1度の勝負”

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味の決め手になる重要な指標は「ROR(Rate of Rise/温度上昇率)」です。わずかな温度推移が仕上がりを大きく左右するため、田村さんは10秒単位で細かくモニタリングし、0.1度、0.2度という極小の変化も決して見逃しません。
数値に微細な乱れが生じた瞬間、さまざまなサインと読み取り、味が崩れるのを未然に防ぎます。焙煎機には、火力を変えてから豆に熱が伝わるまで5〜20秒の“タイムラグ”が必ず存在します。
田村さんは、一瞬の温度変化から数分先の未来を予測し、遅れを見越して「先回り」で火力を調整。 このコンマ数秒の読みと修正の繰り返しこそ、機械には絶対に真似できない「神業」なのです。

雨の日の焙煎は“職人の勘と経験”が試されるスリリングな時間

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焙煎は、豆そのものの個性だけでなく、気温・湿度・気圧といった自然の機微にも左右されます。なかでも雨の日の焙煎は、まさに“職人の勘と経験”が試される一瞬の勝負どころ。雨が近づくと、焙煎機の“内圧”が急に上がることがあります。
特にデリケートな豆の場合、そのたった一瞬の変化が味わいを大きく左右してしまう。
田村さんは、天候の動きを先回りし、内圧が変わる前の“最良の瞬間”に焙煎を着地させます。
気温、湿度、気圧、潜熱、そして数秒後に訪れる温度上昇など、刻々と移り変わる要素を読み解きながら、“いま、この瞬間だけの最適解”を導き出しています。

「五感だけでも、数字だけでもダメ。両方が揃ってこそ“安定した品質”は守れます」
田村さんは、世界でRORが注目されるよりも前から、このスタイルを続けてきました。
五感と科学を同時に操る、動き続ける焙煎。その研ぎ澄まされた一瞬一瞬の積み重ねが、Tsukikoya Coffee Roasterの“唯一無二の味”を支えています。

山の上にある、癒しと絶景の古民家カフェ

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Tsukikoya Coffee Roaster 山の上店は、その名の通り、追浜駅から徒歩16分、坂を上がった高台にあります。オーナー焙煎士の田村英治さんが2010年に、ロースタリーを併設したカフェとしてオープン。もともと茶室だった古民家は、紅葉の季節には絵画のような美しい景色が広がります。
坂道は急ですが、その先に待っているのは「絶景と極上のコーヒー」。世界中からのファンも絶えない人気店です。

世界基準の味覚×日本屈指の焙煎技術

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田村さんは、世界で唯一のコーヒー鑑定士資格である「Qグレーダー」を持ち、さらにジャパン コーヒー ロースティング チャンピオンシップ(JCRC)のファイナリストにも選ばれた実力者。20科目に及ぶ厳しい試験を突破し、世界基準の味を判断できる“本物の舌”を持つプロです。また、全国の職人からわずか数名しか残れない“トップ6”に選ばれた焙煎技術は、まさに匠の領域。
世界基準の味覚と、日本屈指の焙煎力、この二つを兼ね備えているからこそ、「田村さんのコーヒーは香りから違う」と評されています。

過酷な現場で戦う、孤高の職人の目標

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「焙煎が8バッチ続くと、気が狂ったようになります」田村さんはそう言って苦笑いします。
1度、1秒を追求する極限の集中力。それを維持し続けながら行う焙煎作業は、肉体的にも精神的にも想像を絶する負担です。本来なら3人がかりで行う「月間750kg」の焙煎を、彼はたった一人でこなし、時には作業が1日15時間を超えることもあるそう。

だからこそ、田村さんは「自分のペース」を大切にしています。体に余力があるうちに、あえて意識的に休憩を挟む。好きな音楽を聴き、コーヒーを飲み、心身をリセットする。その「余白」を作ることで、仕事後も元気でいられる状態を保ち、常にベストなパフォーマンスで豆と向き合い続けています。
「80歳まで、現役で焙煎を続けたい」
そのためには自分自身の体を守り抜くことも仕事の一部。
追浜の山の上で、今日も身体と対話しながら、理想の一杯を追求し続けています。

味わったことがない珠玉の一杯を

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お湯を注いだ瞬間、立ち上る湯気とともに、ふわっと広がるコーヒーの香り。豆の産地や焙煎度合によって、フルーツのように華やかな香りやカカオやローストナッツのような深い香ばしさなど、驚くほど多彩な表情を見せてくれます。
田村さんの焙煎するコーヒーがドラマチックなのは、「どの温度帯で、どんな香りを出して、最後にどんな甘みを残すか」。 10秒単位のデータと世界基準の舌で、その味のストーリーを完璧に設計しているからこそ、飲む人の心が動かされるのです。

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人々を惹きつけるのは技術だけではありません。 気になったことは全て確認し、納得いくまで追求するまっすぐな姿勢。
「この人が生み出すものなら、絶対に大丈夫」
そこには、確かな技術と誠実な人柄が築き上げた、田村さんへの信頼があります。
妥協なきプロ意識と、豊かな感性が織りなす“ハイブリッド”な味わい。 同じ豆でも、ここで味わう感動はまるで別物。人生で何度も出会ってほしい、記憶に残る一杯です。
併設のカフェでは、スペシャリティコーヒー(700円)やトップスペシャリティコーヒー(990円)の数種類の中から選ぶことができます。焙煎した豆は店内のほか、横浜元町中華街店、オンラインショップ、そして「ふるさとチョイス」で購入可能です。

取材日 2025/12/6

※掲載されている商品・情報は取材時点のものであり、変更される場合がありますのでご了承ください。

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日本家屋の美しさと、窓辺に広がる庭園の緑。 柔らかな光に包まれて過ごす時間は、日常を忘れさせてくれる極上のひとときです。

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コーヒーの種類は浅煎りから深煎りまで豊富。スタッフさんが好みに合わせておすすめを紹介してくれるので安心です。

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焙煎した豆を販売中。価格は豆によって異なるため、店頭でご確認ください。ドリップパック(1P 250円)も人気です。

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田村さんが考案した絶品フレンチトースト(ドリンクセット1,540円)は、柔らかさとサクッと感の新食感。コーヒーと合わせることで完成する至福のペアリング。

Writerうみのとなり

ライター歴5年 「横須賀っていいな」「行きたいな、住みたいな」と思ってもらえる情報を発信しています。 地元の美しい自然・歴史・地域のあたたかさと魅力を伝えたい!Yahoo!ニュースライター 500件以上取材実績あり。地域クリエイター月間MVA2024年11月、7月、2023年7月連続受賞。

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