湘南製餡株式会社は、地元で長く愛されてきた“あんこ屋さん”です。餡を卸す専門メーカーでありながら、「あんこがいちばん美味しく輝く形」をで届けたいという思いから、自社でも和菓子づくりに挑んでいます。
湘南製餡株式会社は、地元で長く愛されてきた“あんこ屋さん”です。餡を卸す専門メーカーでありながら、「あんこがいちばん美味しく輝く形」をで届けたいという思いから、自社でも和菓子づくりに挑んでいます。
皮に使われているのは、ワタナベファームの平飼い卵「あかり」。自然光が差し込む環境でのびのび育った鶏の卵は、黄身の色が濃く、コクがありながらもやさしい甘みが特徴です。ふんわりと焼き上げた皮を割ると、中から顔を出す大きな栗が一粒。粒あんの風味と栗のほくほく感が重なり、ひと口ごとに満足感が広がります。ずっしりとした食べ応えなのに、後味は軽やかで、気づけばもう一口と手が伸びてしまいます。
「栗どら焼きがあるのに、マロン?」と最初は不思議に思いますが、口にするとその違いに思わず納得します。なめらかな白あんに刻んだ栗を練り込み、まるでモンブランのような風味と食感です。和菓子離れが進む時代に、「あんこは少し苦手」と感じている人にも手に取ってほしい。洋菓子のようなマロンから和菓子の世界に入り、やがて王道の粒あんへと歩みを進めてほしい。そんなやさしい願いが、この一品には込められています。
あんこ屋だからこその定番「粒あんどら焼き」(270円)ももちろん販売しています。北海道産小豆を使った粒あんは、甘さ控えめで小豆の粒感がしっかり残る仕上がりです。後味が重くならないよう丁寧に炊き上げ、「皮が主役になりすぎず、あんがちゃんと美味しい」バランスを大切にしています。どれもどっしりと餡が詰まっていて、食べ応えも抜群です。
湘南製餡株式会社は創業から60年以上。地元だけでなく県外の和菓子店にも餡を卸してきた老舗です。大学卒業後に家業を継いだ望月真澄社長は、原材料の選定から製餡まで自ら携わります。職人の仕事は、単にマニュアル通りに炊くことではありません。豆の状態を見極め、「このお菓子にはどの温度帯が合うのか」と対話するように火加減を決めていきます。濃厚で粘り強いあんこもあれば、上品で淡いあんこもある。和菓子ごとに設計を変えるその感性こそが、湘南製餡の真髄です。
なぜ製餡所が自ら皮を焼き、どら焼きを作るのか。そこには望月社長の静かな葛藤がありました。「自分のあんこは美味しい。でも和菓子になった時、その力を100%発揮できているだろうか」
手塩にかけたあんこが、嫁ぎ先で本当に幸せになれているのか。そんな思いから、「皮も自分で焼けば、あんことの最高のバランスを作れる」と決意します。転機となったのは、廃業する和菓子屋から譲り受けた一台の機械でした。かつて手作業だった工程は、1時間に300〜600個を焼き上げる体制へと進化します。冬の繁忙期には、企業からの注文だけで1万個に達することもあるそうです。
「あんこ屋がどら焼きを作るから、あんこの正解を追求できる」
その言葉どおり、湘南製餡のどら焼きには、豆そのものの力に加えて、職人の確かな意志と深い愛情が息づいています。一粒一粒に「このお菓子の中で、あなたはこう輝きなさい」とそっと語りかけるような、やさしい温もりを感じます。直売所のショーケースには、どら焼きだけでなく、茶まんじゅう(2個入り 300円)や、つるんとした口当たりの餡とうふ(200円)、季節の香りが広がるみかん大福(130円)など、生菓子も彩り豊かに並びます。どれも湘南製餡こだわりの餡が主役で、素材の良さが素直に伝わる味わいです。
どら焼きは直売所やオンラインショップのほか、横須賀海軍カレー本舗のお土産店などでも手に取ることができます。忙しい毎日のティータイムに、そして大切な人への手土産に。そっと心をほどくような、やさしい甘さを連れて帰ってみませんか。
取材日 2025/11/27
※掲載されている商品・情報は取材時点のものであり、変更される場合がありますのでご了承ください。
Information

湘南製餡株式会社
住所 神奈川県横須賀市大矢部 3-13-6
電話番号 046-836-1474
営業時間 10:00~16:00
定休日 日曜
アクセス 京急北久里浜駅よりバス(北久14・北久18・久16)6分大矢部2丁目下車そこより徒歩1〜2分
URL https://shou-an.jp

Writerうみのとなり
ライター歴5年 「横須賀っていいな」「行きたいな、住みたいな」と思ってもらえる情報を発信しています。 地元の美しい自然・歴史・地域のあたたかさと魅力を伝えたい!Yahoo!ニュースライター 500件以上取材実績あり。地域クリエイター月間MVA2024年11月、7月、2023年7月連続受賞。

RECOMMEND
RANKING