セレクトショップnomadicraft(ノマディクラフト)の代表の笹本祥巨さんは、少数民族の手仕事を紹介・販売するとともに、インド・バングラデシュ発祥の伝統的な刺繍「カンタ」を制作しています。創作や展示のほか、初心者でも参加できるワークショップを開催。自身の感性のままに模様を描くカンタの魅力を広める活動を行っています。
セレクトショップnomadicraft(ノマディクラフト)の代表の笹本祥巨さんは、少数民族の手仕事を紹介・販売するとともに、インド・バングラデシュ発祥の伝統的な刺繍「カンタ」を制作しています。創作や展示のほか、初心者でも参加できるワークショップを開催。自身の感性のままに模様を描くカンタの魅力を広める活動を行っています。
笹本さんのカンタワークショップでは、初心者向けの入門編として基本的な刺し方を教えています。
使用するのは、インドでガンジーが広めたとされる手紡ぎ手織りで作られた綿布「コットンカディ」です。
刺し方は並縫いが基本です。
反時計回りで針を進めながら、縫う幅や場所を少しずつアレンジするだけで、三角、丸、V字といった幾何学的な模様がふわりと浮かび上がります。
縫い方を変えれば、生地の表情はポコポコとした凹凸から繊細な点の集合まで、変化自在です。
カンタの魅力は、自由さと無限の表現力にあります。
その奥深さに、きっと引き込まれることでしょう。
無心で針を動かしていると、どんな模様が布に生まれるのかワクワクし、出来上がったときの喜びに思わず時間を忘れてしまいます。
目を数えず、思うままに針を進めるので、思い描いたものとは少し違う形になることもあります。
しかし、カンタには「失敗」という考え方はありません。
針目が少しずれても、仕上がりが完璧でなくても、それもまたその人だけの“味わい”であり、個性のひとつ。
むしろ、そのズレや偶然をどう生かして美しい形にしていくか、その過程こそがカンタの魅力です。
きれいに縫うことを誰かと比べたり、競ったりする必要はありません。
周りの表現や感性から刺激を受けながら、自分らしい創作へとつなげていけばいいのです。
完璧な技術よりも、少しの遊び心や心地よい揺らぎが、作品全体に“楽しさ”や“あたたかみ”をもたらします。
ラフに見える部分さえも受け入れてくれる――そんなおおらかさが、カンタの手仕事のいちばん素敵なところ。
素朴で自由な風合いこそが、カンタの本当の魅力なのです。
少数民族の手仕事を扱うセレクトショップ「nomadicraft(ノマディクラフト)」の代表・笹本祥巨さんは、4年前、インドとバングラデシュにまたがるベンガル地方の伝統「カンタ」に深く心を奪われました。
その自由でおおらかな世界観、そして一針ごとに広がる表現の豊かさ。
笹本さんは、カンタが持つ“計り知れない自由”に強く惹かれたと言います。
忙しい毎日の中で、笹本さんにとってカンタを刺す時間は静かで、豊かな時間です。
師匠の望月真理さんから教わったのは、「カンタを特別なものとして大切にしまい込むのではなく、歯を磨いたり、ご飯を食べたりするのと同じように、日常の一部として続けること」。
1日わずか10分でも30分でもいいから、針を持つ時間を習慣にする。
その積み重ねが、カンタの精神と技術を自分の中に根づかせる秘訣です。
創作で大切にしているのは、心にゆとりを生む「余白」と、ひと針ひと針に宿る「美意識」とのバランス。
すべてを完璧にしようとせず、少しの“あそび”を残すことで、作品は「これから育っていくもの」として息づき始めます。そして、美意識とは、ただ技術を磨くことではなく、自分と静かに向き合う心の姿勢そのもの。
その思いが整ったとき、作品の中に自然と深みが生まれ、日々の暮らしの記憶や、それを慈しむ気持ちがそっと滲み出てくるのだと言います。
カンタの作品が「ひとつとして同じものがない」のは、作り手の心にある風景や、大切な人への想い、日々の営みを、飾らずに布の上に表しているから。
そこには、“用の美”、暮らしの中で生まれる美しさが息づいています。
カンタはまさに、生きる力そのものが形になった手仕事なのです。
これまで都内を拠点に活動していましたが、2018年にご家族で横須賀へ移住しました。
「横須賀はとても住みやすいです。自然が近いことが大きな魅力です」
笹本さんの言葉の端々からは、新しい土地での暮らしがもたらした、やわらかな解放感が感じられます。
愛犬と歩く道すがらに見える山や木々、そしてきらめく海。
そんな豊かな自然がそっと日常に寄り添い、心にゆとりを生み出しています。
その穏やかな時間の流れが、笹本さんの中に静かな創作のエネルギーを育み、作品へとやさしく息づいています。
またパートナーである、フリーライターの妻・アキさんから「結構、教えられている部分があります」と話します。
ものづくりにおいて、お互いに影響を与えながら個々の活動を行っています。
民族文化への深い興味を共有し、お互いの美意識を尊重し合い、個々に活動する関係性が、それぞれの広がりと深さにつながっています。
今後は、創作の幅をさらに広げ、展示などの発表の場も少しずつ形にしていきたいと話します。
あなたもぜひ、笹本さんのワークショップを通じて、自由でのびやかなカンタの世界に触れてみてはいかがでしょうか。
横須賀市内をはじめ、神奈川県内や東京でも開催されています。
最新の情報は、Instagramでぜひチェックしてみてください。
取材日 2025/10/3
※掲載されている商品・情報は取材時点のものであり、変更される場合がありますのでご了承ください。
Information

nomadicraft(ノマディックラフト)

Writerうみのとなり
ライター歴5年 「横須賀っていいな」「行きたいな、住みたいな」と思ってもらえる情報を発信しています。 地元の美しい自然・歴史・地域のあたたかさと魅力を伝えたい!Yahoo!ニュースライター 500件以上取材実績あり。地域クリエイター月間MVA2024年11月、7月、2023年7月連続受賞。

RECOMMEND
RANKING