食べたものが、体を作る。そうであでば、滋味深く、大地の恵みを豊かに湛えた、旬の野菜を頂くのが一番です。折角ならば、美味しくいただきたい。
40年以上テレビの料理番組に従事し、数々の料理と食材に携わった筆者が、1年を通して多彩な野菜が育つ三浦の大地を知り、旬の野菜を美味しくいただく連載の始まりです。
食べたものが、体を作る。そうであでば、滋味深く、大地の恵みを豊かに湛えた、旬の野菜を頂くのが一番です。折角ならば、美味しくいただきたい。
40年以上テレビの料理番組に従事し、数々の料理と食材に携わった筆者が、1年を通して多彩な野菜が育つ三浦の大地を知り、旬の野菜を美味しくいただく連載の始まりです。
「三浦の野菜」と聞いて最初に思い浮かんだのは、35年前に取材で伺った「三浦大根」の畑と極太の採れたて三浦大根の味の記憶です。生でかじった瞬間に「梨なの?」と思わず言ってしまったほどの瑞々しさと甘さ。畑での試食だったにも関わらず、ちょっとかじる、という以上に食べてしまったことを思い出しました。
35年もの歳月を埋めるための予備知識を得るべく、まずは三浦市農業協同組合と神奈川県農業技術センター・三浦半島地区事務所を訪ねることに。
車から降り立つと、最盛期の大根畑の真ん中にまっすぐに伸びる道、その向こうに富士山が頂上から裾野までどんとそびえる風景に、しばし見ほれてしまいます。
ちなみに「三浦大根」とは、三浦でとれる大根のことではなく、大きければ3〜5㎏にもなる極太でずんぐりした大根の品種(もちろん何種類かあります)。みずみずしいのに肉質が緻密で柔らかく、なますにすると最高の美味、煮れば短時間でとろとろ、という、味は折り紙つきの三浦特産の真冬に出回る大根です。
2025年には目出度く、命名100周年を迎えます。
しかし、何と今、三浦で栽培されている大根の99%以上は青首大根であり、三浦大根は農協からは年末の3日間にだけ出荷されるものだというのです。どおりで、東京でも、この三浦の地でもなかなか見かけないわけです。(三浦の直売所などでは農家が直接出荷しているので、この日以外でも買えます)
一方、青首大根というのは上部が青い、私たちが普段最もよく目にする大根ですが、なんと100種類を超える品種から、農家が蒔く時期や気候、各々の土地に合わせて、一つの農家でも4〜5種類の品種を選んで育てているそうです。
三浦の野菜農家は代々続くところが多く、日本の農家の平均年齢76歳より10歳若い(といっても充分ベテラン世代です)そうで、三浦では何と4人に1人が農業に従事。700名500戸、土地の40%が畑であり、漁業との兼業も多いそうです。
農協でも農業技術センターでも、みなさん口を揃えておっしゃるのは、連鎖障害が出ない、という三浦の土壌の良さ。冬は温暖で夏は涼しい気候など、首都圏に隣接しながらとても恵まれた土地柄な上に、さらに、肥料をほとんど入れなくて良いように堆肥を工夫する、大根は手で1本ずつていねいに収穫して出荷する、など「三浦の農家さんは意識が高く、勉強熱心な方が多いのです」ということでした。
そんな三浦の農業の中核を担う現役世代の作り手であり、海にほど近い毘沙門地域の生産者である「やまきちファーム」の鈴木清光さんの元を訪ねる機会を頂くことになりました。
取材日:2024年2月26日
撮影:角田洋一

Writer戸叶 光子
幼い頃から食べるのが大好きで、卵かけごはんは「黄身を崩さず自分でさっと混ぜながら食べたい」(当時は母親がよくかき混ぜて子ども達のごはんにかけてくれるのが普通だった)、「いちごは絶対潰さないで」(その頃のいちごは酸っぱくて、砂糖と牛乳をかけて潰して食べるのが定番だった)などなど、食べ方に変なこだわりをもつ子供だった。 大学卒業後は料理編集者の仕事に就き、その後、料理番組の制作にも40年ほど携わって食こそ人生の日々を過ごしてきた。キャンプ、バレエ、猫を愛し、料理、食材の取材はライフワークにしたいほど好き!

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