横須賀ジャンパー、通称「スカジャン」の発祥地であるドブ板通り。70年以上前、この商店街には刺繍店が並び、米軍駐留兵はジャンパーに和柄の刺繍を入れて、帰還時のお土産にしていました。
既製ジャンパーの販売店が増える中、「ドブ板コーバスタジオ」では昔ながらに刺繍をオーダーメードできます。
横須賀ジャンパー、通称「スカジャン」の発祥地であるドブ板通り。70年以上前、この商店街には刺繍店が並び、米軍駐留兵はジャンパーに和柄の刺繍を入れて、帰還時のお土産にしていました。
既製ジャンパーの販売店が増える中、「ドブ板コーバスタジオ」では昔ながらに刺繍をオーダーメードできます。
開業して2年、店主の山上大輔さんは全国から来店されたお客さまの要望に応えて、数々の刺繍を施してきました。中には、かつてのように駐留記念にオーダーされる米軍の方もいるようです。
YouTubeや各種メディアで取り上げられると、イラストレーターの五月女ケイ子さん、芸人のケンドーコバヤシさん、くっきー!さんなど、著名人からの依頼も受け、「常に自分の技量を試されていると感じる」と話していました。
オーダーメード刺繍は基本的に事前予約制で、メールやInstagramから申込できます(ジャケット代11,000円~のほか、後身頃・特大サイズ 刺繍代44,000円・すべて税込)。
ベースとなるジャケットをセレクト後、デザインの詳細を伺ってから、写真やイラストなどを参考に刺繍作業に入ります。来店が難しい場合は、メールやSNS上でのやりとりでも可能ということなので、気軽にお問い合わせください。
山上さんがスカジャンの刺繍の虜になったのは、2017年。完全フルオーダーのオリジナルスカジャン製造販売店「ファースト商会」の店主・松坂良一さんに、自身が描いたイラスト入りのスカジャンを注文したのがきっかけでした。
「イラストの再現度はさることながら、刺繍の緻密さに驚きました。また、人が自分の絵に似せようとした感じや修正した跡など、刺繍に残る人間の痕跡に夢中になって……」
気が付けば松坂さんに頼み込み、基本的なミシン操作や横文字の入れ方などを教わっていたそうです。
師匠と自身の刺繍を見比べながら、山上さんはこう話します。
「同じ図案でも10人に縫わせたら10通りの表情ができるように、刺繍には人柄が宿ります。不思議と、そこに技術の巧拙は関係ありません」
オーダーメードの刺繍の魅力は機械では再現できない、その「人柄」にあるのだといいます。
「師匠の輪郭をとった絵を細かく塗りつぶすさまには実直さ、刺繍の絵の愛嬌のある表情には優しい人柄を感じます。そして、何より少しでも良いものを残そうとミシンに向かい続けた結果生まれる力強さ。そこに人は魅力を感じるのでしょう。僕自身がそうでしたから」
師匠から受け取った“職人の矜持”を胸に抱きながら、自身が感じた想いを次の世代に伝えるべく、今日も山上さんはミシンと向き合います。
取材日 2025/1/17
※掲載されている商品、価格、情報は取材時点のものであり、変更される場合がありますのでご了承ください。
Information
Dobuita Koba Studio
住所 神奈川県横須賀市本町2-1
電話番号 046-890-6041
営業時間 11:00〜18:00
定休日 水曜
アクセス 京浜急行電鉄「横須賀中央」徒歩7分
URL https://www.instagram.com/dobuita_koba_studio/
Writer小林有希
東京在住フリーライター/Web編集。2016年にアパレル企画兼バイヤーを辞めて、ライターに。 紙、WEB問わず企業PR、ファッション、アート、地域、建築、教育、働き方など多分野で執筆中。
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