【連載】三浦野菜の作り手を知り、魅力を伝えるデザインプロジェクト 三浦スイカの美味しい秘密③

Release2025.06.21

Update2025.07.15

【連載】三浦野菜の作り手を知り、魅力を伝えるデザインプロジェクト 三浦スイカの美味しい秘密③

Release2025.06.21

Update2025.07.15

地元良品JOURNEY三浦半島篇と鎌倉のテキスタイル研究所Casa de pañoとのコラボ企画「三浦野菜デザインプロジェクト」三浦野菜の作り手や届ける仕事に携わる人にインタビューを行い、その魅力を「もよう」で表現します。完成したデザインはテキスタイルとなり、地元の人にも訪れた人にも長く愛される布製の日用品に展開します。

デザインは、旅行ガイドブック「ことりっぷ」を始め、広告や絵本などのイラストレーションを手掛けるイラストレーターのスズキトモコさんが担当します。

『三浦スイカの美味しい秘密』をテーマに、6月は、三浦市内に広大な畑を持つ森勘農園さんでスイカの交配(人工授粉)の様子を取材しました。

三浦スイカの美味しい秘密(3)朝一番の「花粉付け」は、時間との闘い

6月上旬、森勘農園のスイカ畑を訪れると、畑は一面、スイカの大きな葉で覆われ、鮮やかな緑の世界が広がっていました。4月に植えた小さな苗から、わずか2ヶ月足らずで約2mもツルが伸び、成長の速さに驚きです。

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小さな苗が大変身!たった2ヶ月で約2mのツルに

「スイカは、家ごとにいろんな作り方があって、うちはツルの成長に伴いビニールトンネルを外す『オッカブセ栽培』。風で実が傷つくリスクは高いけれど、天候が味方すれば大きなスイカが沢山実るよ。天候と向き合い、大きくておいしいスイカが出来た時の喜びは格別。だからスイカ作りは、面白くてやめられないよ。」

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そう語ってくれたのは、森勘農園の森晴夫さん。今日は、以前から「一番面白いよ!」とおっしゃっていた交配作業を、特別に見せていただけることになりました。

晴れた日の朝9時までが勝負!一つ一つ丁寧に、雌花に花粉をつける

スイカの花は、朝早くに咲いて夕方にはしぼんでしまう一日花。花粉の寿命も非常に短いため、交配作業はまさに時間との戦いです。 咲いたばかりの雌花に、雄花から出る黄色い花粉を『とんとん』と優しくこする様につけていきます。ハチ等の虫も受粉を手伝ってくれますが、確実に実らせるためには、手仕事で行うこの『交配作業』が必要不可欠です。

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「これは、昨日交配した赤ちゃんスイカ。ひげがふさふさとしていて、産毛みたいでしょ。」

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交配後数日間の成長は著しく、一日中スイカ畑にいれば実が大きくなる瞬間を目撃できるのでは、と思ってしまうほど。さらに耳を澄ませば、「ぐぐぐっ」と膨らむ音まで聞こえてきそうです。

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2日目 長さ約2cm

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3日目 長さ約3cm

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4~5日目 長さ約6cm

最初はぼんやりしていた縞模様もくっきりと際立ち、鮮やかだった緑色が深い黒緑色へと変われば、収穫の時期はもうすぐそこです。

「人間に例えると分かりやすいのだけど、赤ちゃんや子どものスイカは皮がまだ弱くて、風で傷つきやすい。でも、大人のスイカになると皮が硬くなって、もう傷つかなくなるんだよ」

そう言いながら森さんは、葉が生い茂る中から宝探しのように、交配後22日目のスイカを見せてくれました。

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美味しいスイカづくりの秘密は「着果位置」にあり

ふと畑の足元を見ると、様々なサイズの小さなスイカが転がっていました。 全ての実を育てるわけではないそう。

「これは摘果(てきか)した実だよ」と森さん。

摘果とは、実を厳選する“間引き”のこと。根元に近い花の実は、形がいびつになったり、食べた時に舌触りがざらざらとするため、大きくせずに摘み取ります。

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「まずは、ツルを伸ばして葉の数を増やすのが最優先。だから1番花に実がついたら、もぐ。そうすると、次の2番、3番の雌花に実ができて、またもぐ。とはいえ、雨が続くと実のつきも悪くなるから、その時の天気や成長を見ながら、どのタイミングで摘果するかを見極める。その判断がまた、この仕事の面白いところなんだよ」と、森さん。

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そうした摘果作業を経て、実際に収穫する「収穫果」として選ばれる、4〜5番目の雌花が咲きます。長年の経験から導き出されたこのベストな「着果位置」で、実を生らせること。これこそが、形が整い味がしまった最高の一玉を育てる、森勘農園の秘訣なのです。

7月は、いよいよ大玉スイカの収穫の様子をお届けいたします。

そして、7月19日(土)・20日(日)に開催の「スイカフェスティバル」には、森勘農園の採れたてスイカがやってきます。イベントのご予約・詳細は、下記のEventコーナーをご覧ください。

取材日 2025/06/19

写真 角田洋一

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イラストレーターのスズキトモコさんと森勘農園の森さん

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つる先がしっかり持ち上がっていると、元気な証拠。交配時の大切なチェックポイント。

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一番花のスイカは“もとなり”と呼ばれています。形こそいびつですが、最初に栄養を独り占めするため味は良く、漬物にすると逸品だそう。

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新鮮な花粉(左)と前日の花粉(右)では、黄色の鮮やかさが異なります。 当日咲いた雄花の花粉でないと、受粉することができません。

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みつばちも交配を手伝ってくれています。

Event

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2025年7月19日(土)-20日(日)に、三浦半島の特産品「スイカ」をテーマにしたフェスティバルを開催いたします。

本イベントでは、地元良品JOURNEYでの密着取材をもとに「三浦スイカの美味しい秘密」をご紹介。さらに、森勘農園さんのスイカを使ったジェラートや、スイカをテーマにした絵本やイラスト、とれたての三浦スイカ販売など、スイカにまつわる楽しみがぎゅっと詰まった2日間をお届けします。皆様のご来場を心よりお待ちしております。

日時:2025年7月19日(土)〜20日(日)10:30~16:00

会場:テキスタイル研究所 Casa de paño(鎌倉 雪ノ下)

入場料:無料

事前予約制:イベントページよりご予約をお願いします。 

https://www.casadepano.com/post/スイカフェスティバル

協賛:三浦市農業協同組合

後援:三浦市、鎌倉市教育委員会

Designer

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スズキトモコ / イラストレーター 


新潟生まれ、東京都在住。 
武蔵野美術大学卒業後、映像制作会社に勤務したのち、フリーランスに。
昭文社の旅行ガイドブック「ことりっぷ」を始め、広告、キャラクター、教科書や絵本などのイラストレーションを手掛ける。2023 イタリア・ボローニャ国際絵本原画展入選。

Writerいとうまいこ

大学卒業後、大手家電メーカーで商品企画や展示に関わる。そのときの経験からテキスタイル(布)に関わる仕事をしたいと考え、2023年にテキスタイルのギャラリー「Casa de paño」を鎌倉で開業。展覧会やワークショップの企画に加え、三浦半島の豊かな自然や生き物、暮らしをモチーフにした布製品の商品企画を行っている。本企画は、三浦半島で暮らす人・営む人へのインタビューをもとに、もようのデザインを通して地域の魅力を再発見し共有する試みです。

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