行列ができる人気の和菓子屋「菓子こよみ」。店内にはどら焼き、豆大福、わらび餅などの定番和菓子と季節のお菓子が並びます。名物の「どら焼き」は開店直後に売り切れることも多い看板商品ですが、それに負けず劣らずファンが多いのが「わらび餅」です。
店主の粂谷知志さんが心を込めて作るお菓子はどれも絶品ですが、なかでも「理想の味に近づけた」と話す自信作が、本わらび粉100%で作る「わらび餅」。商品誕生の裏側にはこんなエピソードがありました。
「製菓の専門学校に通っていた頃、名古屋にあるわらび餅で有名なお店で食べた時にそのおいしさにすごく感動したんです。自分もこんなわらび餅を作ってみたい! と衝撃を受けて、そこから名古屋で食べたあの味を追求。でも作るとすごく難しくて、全然思い描いた味にならないんです。本わらび粉って高価なので、練習で使うと費用がものすごくかかってしまうのですが、赤坂の『塩野』の後に修行した葉山の『日陰茶屋』で練習する機会に恵まれました。そこで経験を積んで、自分の納得できる味までたどり着けました」
そもそもわらび餅とは、成分の中に1%でも本わらび粉が入っていれば“わらび餅”と謳えるのだとか。街で売っている一般的なわらび餅に入っている本わらび粉は、大体1%から10%くらい。残りはタピオカ粉やでんぷんが占めているそう。一方、「こよみ」は本わらび粉100%のため、原価は相当かかりますが食感と香りが段違い。
実際にいただいてみると、歯がいらないほどやわらかな“とろん”とした食感に感動。お餅にまぶした深煎りきなこの香りと、本わらび粉の風味が相まって上品な味が口に広がります。中に包まれたこし餡もシルキーで、お餅との一体感がお見事。繊細な食感と味わいに唸らされます。
「わらび餅」は冷蔵保存できず日持ちしないため、その日のうちに食べるべし。ぜひ出来立てのおいしさを満喫してみてくださいね。
お菓子は持ち帰りのみの販売で、夏季の間だけ午後はかき氷を提供する喫茶営業を行っています。今後の展望を粂谷さんにたずねると、「ゆくゆくは喫茶をメインに焼きたてのどら焼きを提供したり、“シェフの気まぐれメニュー”みたいに『今日はこんなお菓子を作ってみました』とかやってみたり、そんなことも考えています」と語ってくれました。“喫茶こよみ”が実現したら、またひとつ逗子を訪れる楽しみが増えそうです。
取材日 2025/8/7
※掲載されている商品、価格、情報は取材時点のものであり、変更される場合がありますのでご了承ください。
Information

菓子こよみ
住所 神奈川県逗子市逗子1-7-4
電話番号 046-876-8226
営業時間 10:00〜14:00
夏季のみ喫茶営業 金・土・日曜13:00〜16:00(15:30LO)
定休日 火・水曜
アクセス JR横須賀線逗子駅から徒歩5分

Writer坂井あやの
雑誌やweb媒体で食・酒・旅にまつわる記事を執筆。町場の酒場から星付きレストランまで、おいしい料理とお酒があると聞きつければフットワーク軽く全国へ足を延ばす。ナチュラルワインとサウナと野球が、日々の癒し&楽しみ。

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