横須賀市・観音崎に建つ、美しいガラス張りの建物、「横須賀美術館」をご存じでしょうか。
「横須賀美術館」は三方を山に囲まれ、東京湾を臨む特殊な地形に建てられており、館内にいながらにして観音崎の自然を感じることができます。アート鑑賞だけにとどまらない、横須賀美術館ならではの楽しみ方を、学芸員・沓沢耕介さんに伺いました。
横須賀市・観音崎に建つ、美しいガラス張りの建物、「横須賀美術館」をご存じでしょうか。
「横須賀美術館」は三方を山に囲まれ、東京湾を臨む特殊な地形に建てられており、館内にいながらにして観音崎の自然を感じることができます。アート鑑賞だけにとどまらない、横須賀美術館ならではの楽しみ方を、学芸員・沓沢耕介さんに伺いました。
美術館の設計を手がけたのは山本理顕氏。2024年に建築界のノーベル賞といわれる「プリツカー賞」を受賞した日本を代表する建築家です。山本氏が目指したのは、豪華な外装が目立つ建物ではなく、周囲の環境に溶け込む、やわらかな印象をもつ建物でした。
「塩害対策も兼ねて外壁にはガラスが多用されています。このガラスは光を取り入れる一方で、光を反射するので、建物は緑や空模様を映し出すように周囲の風景と馴染んで染まっていきます。この刻一刻と変わる光を纏う様子がこの建築の魅力のひとつだと感じています」
館内に入ると、吹き抜けになっているエントランスホール(2階部分)から、1階の企画展示室や中2階の多目的スペースまで見渡すことができます。天井や壁に大小様々な丸窓が設けられた館内は明るく、真っ白な壁を伝って光が回り、空間全体が輝いて見えます。
そしてふと壁際の丸窓に目を向けると、まるで絵画の額のように、観音崎公園の緑や東京湾の水平線(ときには船の姿も)など、風景を切り出していました。
「設計時に壁の向こう側にある風景を考慮して窓を開けているので、横須賀美術館の館内にいながらにして、観音崎という土地の自然を体感できます。訪れた人だけが味わえる、横須賀美術館ならではの特別な体験ですね」
東京湾を見渡せる「屋上広場」のほか、「山の広場」からは観音崎公園へと続く道が伸びていて、そのまま山歩きもできます。
元は軍用地だった観音崎。山林を歩くと、明治時代に陸軍が築いた西洋式の砲台跡やレンガ造りの弾薬庫跡が、手つかずの自然の中に取り残されているのがわかります。対岸が見えるほど狭い東京湾にかつて張り詰めていた緊張感も、いまや雄大な自然に飲み込まれ、穏やかな時間が流れているようです。
横須賀美術館では他にもレストラン「横須賀アクアマーレ」で食事をしたり、目の前の東京湾で海散策をしたりできます。作品鑑賞に限らず、その土地ならではの自然や歴史を結び合わせた体験ができる貴重な場と言えるでしょう。ぜひお休みの日は、横須賀美術館でさまざまな角度から三浦半島を見つめ、ゆったりとした時間をお過ごしください!
取材日 2025/08/21
※掲載されている商品、価格、情報は取材時点のものであり、変更される場合がありますのでご了承ください。
Information
横須賀美術館
住所 神奈川県横須賀市鴨居4丁目1番地
電話番号 046-822-4000(月~金曜日:8:00~18:00、土日祝休日:8:00~16:00)
営業時間 10:00~18:00 ※屋上広場の開場時間:9:00~19:00
定休日 毎月第一月曜日(ただし祝日の場合は開館)、年末年始
アクセス 京浜急行「馬堀海岸」より京浜急行バス「ラビスタ横須賀観音崎テラス・横須賀美術館前」下車徒歩約2分/京浜急行「浦賀」より京浜急行バス「観音崎」下車徒歩約5分
URL https://www.yokosuka-moa.jp/
Writer小林有希
東京在住フリーライター/Web編集。2016年にアパレル企画兼バイヤーを辞めて、ライターに。 紙、WEB問わず企業PR、ファッション、アート、地域、建築、教育、働き方など多分野で執筆中。
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