相模湾に面した横須賀市長井。潮の香りが漂う港で、かねしち丸の1日が始まります。主役は、今まさに水揚げされたばかりの、きらきらと透き通るしらすたちです。
相模湾に面した横須賀市長井。潮の香りが漂う港で、かねしち丸の1日が始まります。主役は、今まさに水揚げされたばかりの、きらきらと透き通るしらすたちです。
相模湾で採れたしらすが港に戻ると、すぐに加工が始まります。鮮度が命のしらすは、迷わずそのまま釜茹でへ。ここからが、かねしち丸の腕の見せどころです。
専用の大きな釜にお湯を沸かし、絶妙な塩加減を整え、生しらすを投入。一度に茹でる量は、ザル2つ分です。磯の香りがふわりと立ち上り、作業場は一気に活気づきます。茹で時間は、きっちり4分。タイマーを確認しながら、大きなヘラでやさしく混ぜていきます。お湯の中で踊るしらすは、透明から、次第に眩しいほどの白へ。釜から引き揚げられた瞬間、しらすは“今いちばん美しい姿”になります。
茹で上がったしらすは、熱いうちに手早く広げられます。大切なのは「まんべんなく」、一匹一匹が空気に触れること。こうすることで、ふわふわの食感が生まれます。その後、いったん冷蔵庫で冷やし、身を引き締める。このひと手間が、かねしち丸の釜揚げしらすの完成度を高めています。作業場に流れるレゲエの音楽。「レゲエを聞かせると、美味しくなるんだよ」そう話す網元の笑顔は、とても朗らかです。長井の心地よい風と、流れるリズム。仲間同士の笑い声が響く作業場で生まれる釜揚げしらすには、きっと人の温度も伝わっているのでしょう。
ソレイユの丘のふもとに広がる長井漁港で、古くから漁を営んできた「かねしち丸」。「しらすといえば、かねしち丸」と言われるほど、全国にその名を知られる存在です。湘南しらすのほか、長井の地ダコ、地魚、ひじき、アカモクなど、相模湾の恵みを余すことなく届けています。一般のお客様から飲食店まで、多くの人がその味を求めて訪れます。
網元の山田芳樹さんは、高校卒業後に一度サラリーマンを経験したのち、家業に戻りました。本格的にしらす漁を始めたのは27歳のときです。
「美味しかったと言ってもらえることが、何よりの喜びです」
かねしち丸が守り続けているのは、神奈川県の伝統漁法である「一艘引き」です。一艘で短時間に網を引き上げるこの方法は、しらすが生きたまま水揚げされるほど鮮度に優れています。漁は一日に二度行われます。夜明けとともに船を出し、戻ってすぐに加工を行い、再び海へ向かいます。静かな港町の朝は、こうして始まっています。
毎年1月から3月にかけて、しらす漁は禁漁期に入ります。禁漁期間中も、かねしち丸の仕事は続きます。旬の魚を追い、ワカメやアカモクといった海藻の収穫や加工に取り組みます。特に2月から3月はワカメの最盛期となり、しらす漁とは違った忙しさの中で、海と向き合い続けています。海の恵みが最も美味しいかたちで届く、かねしち丸のしらす。そのやさしい口どけと旨みを味わってみてください。釜揚げしらす(600円)は、驚くほどふわふわで、口の中でやさしくほどけます。2時間ほど干した「シラス干し(浜シラス)」、丸一日じっくり干し、旨みを凝縮させた「ちりめんじゃこ」は600円で販売されています。直売所1号店・2号店のほか、直営レストラン『夕凪』、全国配送にも対応しています。
取材日 2025/12/18
※掲載されている商品・情報は取材時点のものであり、変更される場合がありますのでご了承ください。
Information

かねしち丸直売所 1号店
住所 神奈川県横須賀市長井6-21サニーヒル下
電話番号 046-855-5565
営業時間 8:30〜16:00(または17:00)
定休日 不定休(悪天候の日が休み)
アクセス 「長井」バス停下車、徒歩約10分
URL https://www.sukaichi.com/shop.php?tel=0468555565

Writerうみのとなり
ライター歴5年 「横須賀っていいな」「行きたいな、住みたいな」と思ってもらえる情報を発信しています。 地元の美しい自然・歴史・地域のあたたかさと魅力を伝えたい!Yahoo!ニュースライター 500件以上取材実績あり。地域クリエイター月間MVA2024年11月、7月、2023年7月連続受賞。

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