まぐろコロッケ、角煮、焼きトロetc……。店頭に並ぶたくさんの商品。
おいしそう……、と引き寄せられるようにふらふらと近づくと、すかさず「よかったら試食していって!」と声をかけられます。
その中でも目を惹くのができたての「鮪のさつま揚げ」(200円)。アツアツを一口かじると、ジュワッと旨みが口の中に広がり、次にマグロと野菜の甘みが広がります。なんて贅沢な旨み!
これらは店内の厨房で作られています。「見ていって!」と笑顔で厨房での取材を快く許可してくださったのは、先代のオーナー“ゆきちゃん”こと内騰幸雄さん。
さつま揚げの生地を手早く小皿で整えていき、16枚をサラダ油とごま油が入ったフライヤーで一気に揚げていきます。
「油は170℃ぐらい。これは弱火で揚げないと焦げちゃうんだよね」。
広がる香りだけでお客さんが引き寄せられそうです。
「清月」は、もともとは和菓子屋さん。
1964年にゆきちゃんが創業し、本店はうらりマルシェから歩いて5分ぐらいのところで営業中です。
「和菓子の需要が少なくなって、途中でマグロ加工も増やしていったの。試行錯誤しながらね。ここだとお菓子を出しても売れないからね」。
和菓子作りの経験を活かして、次々と新商品を生み出しています。和菓子屋からマグロ加工!? と驚くばかりですが「おいしい」の基本は一緒なのかもしれません。
15歳から8年間修行を重ね、23歳で「清月」を立ち上げたゆきちゃん。
今年で「清月」は創業68年を迎えます。現在は息子さんが二代目として清月を切り盛りしていますが、御本人も変わらず店頭に立っています。
ゆきちゃんはとにかく話し上手。作業の手を止めぬまま、店の前を通るお客さんにも声をかけ、笑顔でコミュニケーションを取っています。
そんな話術が評判を呼び、再びお店を訪れるお客さんも。さらに地域での話し方講座の先生も務めるほど。
「話していると、みんなもっとここにいたいな、とか、またゆきちゃんに会いたいな、ってなるんだよね」とニコニコ。
おいしさだけではなく、コミュニケーションもお店の魅力なのかもしれません。
取材日 2024/11/29
※掲載されている商品、価格、情報は取材時点のものであり、変更される場合がありますのでご了承ください。
Information
清月
住所 神奈川県三浦市三崎5-3-1 うらりマルシェ内 1階
電話番号 090-6160-5312
営業時間 9:00~17:00
定休日 ー
アクセス 京浜急行「三崎口駅」から約15分 バス停「三崎港」2分
URL https://seigetu.stores.jp/
Writerふくだりょうこ
大阪府出身、神奈川県の盆地住まいのライター。ゲームシナリオのほか、インタビュー、エッセイ、コラム記事などを執筆。読書とカメラ、うさぎが好き。
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