京急・北久里浜駅からすぐの商店街にある「和菓子司 壺屋」。
和菓子屋でありながら、どらやきやマドレーヌといった焼き菓子も人気の老舗です。開店と同時に地域の常連さんが次々と訪れる、まさに“まちの和菓子屋さん”。
今回は、その中でも看板商品として愛されている「すかどら」に込められた想いや、親子二代で守り続ける味の秘密を伺いました。
京急・北久里浜駅からすぐの商店街にある「和菓子司 壺屋」。
和菓子屋でありながら、どらやきやマドレーヌといった焼き菓子も人気の老舗です。開店と同時に地域の常連さんが次々と訪れる、まさに“まちの和菓子屋さん”。
今回は、その中でも看板商品として愛されている「すかどら」に込められた想いや、親子二代で守り続ける味の秘密を伺いました。
「どら焼きはどこにでもあるじゃない。ただ、うちのは若干材料が違ってね……。何が違うかって? それはちょっと言えないなあ(笑)」と、いたずらっぽく笑うのは2代目社長の福波康博さん。
「すかどら」(280円)はお店でも一番人気の商品です。ふかふかの生地、その間にはさまれているのはたっぷりのあんこと、そのあんこよりもたっぷりなふわふわのバター。
程よい甘じょっばさが口の中に広がり、いくらでも食べられてしまいそうです。
康博さんと一緒にお店を切り盛りする娘の三代目・絵理さんは「昔はどらやきの生地にバターだけつけて食べたりしていましたねえ(笑)」とのこと。その言葉からも「すかどら」の歴史を感じます。
ちなみに「すかどら」の「すか」は「スカジャン」や「横須賀」からきているのだそう。
「すかどら」の人気は取材中にも目撃することができました。訪れた常連さんが「『すかどら」がおいしくて。買って県外のお友だちにも送ることもあるの」とのこと。
そして「マドレーヌ」(250円)も、もう一つの定番人気商品。
「マドレーヌも昔からあるんだよね。和菓子屋だけど、なんとなくやっていれば売れちゃうんで相当の量を焼いてます」と康博さん。
「和菓子司 壺屋」さんは、京急線北久里浜駅から徒歩3分のところにあります。おじいさんの代では衣笠でお店をやられていたそうですが、康博さんが二代目として継ぐにあたり、現在の場所に移転しました。
店内には定番の「すかどら」や「マドレーヌ」のほか、季節の和菓子が並ぶほか、おせんべいや、日によってはお赤飯も販売されています。
ひっきりなしにお客さんが訪れ、この日は午前中のうちにお団子が売り切れていました。おうちでいただくのはもちろん、おみやげ用に購入される人も。
取材中、「私はここでしか和菓子を買わないの。何十年も通っています」と長年通い続ける常連さんが美味しさの歴史を教えてくれました。
「和菓子司 壺屋」を継ぐまでは、今お店がある場所で奥様と喫茶店を営んでいたという康博さん。
「当時はコンビニもファミレスもないし、若者が立ち寄れる場所もないから、このあたりに喫茶店があるのはよかったんですよ。駅前通りということもあってね。何軒かあったなあ」
その後、お店を継ぎ、独学で和菓子を学ばれたのだそう。三代目・絵理さん曰く「和菓子の研究をしたノートが何冊もあるんです。独学でここまでやってこれたのも、父のそうした真面目さですね」と誇らしげです。
お店も改装して、現在はお住まいとお店が一緒になったビルになりました。
店を構えて40年が経ち、すっかり地元の人たちの生活にとって欠かせない場所となっています。
この日は大量にマドレーヌを焼く日。暑くて大変そう……と、思ってしまいますが「この時期はパン屋も和菓子屋も洋菓子屋もみんな大変だからねぇ」とにこり。
親子仲良くお店をやっていくコツは? とお聞きすると「お父さんが穏やかなんですよ(笑)」と絵理さん。
もしかすると、そんな穏やかな空気感が和菓子にも反映されているのかもしれません。
取材日 2025/8/20
※掲載されている商品、価格、情報は取材時点のものであり、変更される場合がありますのでご了承ください。
Information

和菓子司 壺屋
住所 神奈川県横須賀市根岸町3-11-9
電話番号 046-836-9797
営業時間 9:00〜18:00
定休日 木曜日
アクセス 京浜急行「北久里浜駅」から4分
URL https://www.facebook.com/kitakuri.tsuboya/
https://www.instagram.com/kitakuri_tsuboya/

Writerふくだりょうこ
大阪府出身、神奈川県の盆地住まいのライター。ゲームシナリオのほか、インタビュー、エッセイ、コラム記事などを執筆。読書とカメラ、うさぎが好き。

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