大正13年から続く「法塔ベーカリー」は、土日限定でオープンする老舗パン工房。
通常は卸し売りを主な業務としている工場ですが、現地で購入できる自社製品が人気です。
地元食材を使ったよこすか海軍カレーパンなど、商品棚に並んだそばから飛ぶように売れていく様子に活気を感じました。
大正13年から続く「法塔ベーカリー」は、土日限定でオープンする老舗パン工房。
通常は卸し売りを主な業務としている工場ですが、現地で購入できる自社製品が人気です。
地元食材を使ったよこすか海軍カレーパンなど、商品棚に並んだそばから飛ぶように売れていく様子に活気を感じました。
毎週土曜と日曜、わずか4時間のみオープンしている久里浜の「法塔ベーカリー」。
店内にはズラリとパンが並んでいますが、惣菜パンのほうが多いのだそう。
代表取締役の森柾人さんがおすすめするお食事系のパンは「よこすか海軍カレーパン」(300円)と「安田養鶏場のたまごサンド」(520円)、そして「横須賀松坂屋の和牛メンチバーガー」(420円)。
横須賀といえば海軍カレー。
「よこすか海軍カレーパン」の生地に使われている小麦は、神奈川県海老名市の「泉橋酒造」の米粉を練り込んだもの。もっちりとした生地の中にはレトロな欧風カレーがとろり。
そして「安田養鶏場のたまごサンド」は、地元の人たちから親しまれている「安田養鶏場」の卵を使ったたまごサラダを、焼きたての天然酵母の田舎パンではさんでいます。
ふんわりとしたパンにかぶりつくと、あふれんばかりのたまごサラダを味わえます。
「横須賀松坂屋の和牛メンチバーガー」は地元の人にはおなじみの横須賀・松坂屋のメンチを使用。おいしくないわけがありません。
大正13年に創業した法塔ベーカリー。
戦前は市販のほか、海軍や陸軍にも納入していました。戦後は学校給食が全国に広がっていくのに伴い給食用のパンを製造。最大12,000食のパンを製造していました。
店頭に総菜パンが多めなのは、そんな人々の食を支えてきたというお店の歴史を汲んでいるから。
「当店のパンを家に持って帰ってもらって、お客様の好みに合わせて調理してもらいたい、という思いがあります。その一例が販売している調理パン。本来はお客様の好きなものをはさんでもらいたいんです」と、森さん。
「戦後、食べられるものがない時代からパン屋をやっていて、当時は飢えをしのぐためにパンを提供していた部分があると思うんです。今も地域のお客様の食事の面を支えたい、という思いが根本にあります。特に今はお米も高いですから」。
また横須賀にはおいしいものがたくさんあるからこそ、「パンにはさんで、地元のおいしいものを通じて再発見してほしい」という思いも。
法塔ベーカリーの惣菜パンには、歴史と温かい思いが詰まっているのです。
法塔ベーカリーには自動販売機もあります。ここでは店頭とは異なり、法塔ベーカリーが主軸として販売している袋パンを購入できます。
ご自身のことを「職人というよりビジネス的な観点でパンを見ていると思う」と話す森さん。ただその背景には人への愛があります。
「会社を継続させることが僕のメインの仕事です。そうすることで地域の人に食を提供し続けられます」
「おいしい」はもちろんのこと、地域の人たちの食生活を支える立場でありたい。
時代は変われど法塔ベーカリーのコンセプトは変わりません。
取材日 2025/6/7
※掲載されている商品、価格、情報は取材時点のものであり、変更される場合がありますのでご了承ください。
Information
法塔ベーカリー
住所 神奈川県横須賀市久里浜8-30-1
電話番号 046-835-6555
営業時間 土日のみ、10:00〜14:00
定休日 月~金曜日
アクセス 京急久里浜駅からバスで約16分
URL https://houtou-b.com/
Writerふくだりょうこ
大阪府出身、神奈川県の盆地住まいのライター。ゲームシナリオのほか、インタビュー、エッセイ、コラム記事などを執筆。読書とカメラ、うさぎが好き。
RECOMMEND
RANKING