北原製パン所の一番人気"ポテチパン” 【横須賀】の歴史を知るパン職人・北原俊勝さん

Release2024.12.11

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北原製パン所の一番人気"ポテチパン” 【横須賀】の歴史を知るパン職人・北原俊勝さん

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Update2024.12.12

ポテチパンの誕生

「ポテチパンは父のインスピレーションだね。ひらめきだよ」と北原俊勝さんは言い切ります。

北原製パン所の「ポテトチップサンド」(210円)は、追浜にあった海水浴場を訪れる客向けに俊勝さんの父・先代の治夫さんが考案しました。ホットドッグ用の自家製パンに自家製マヨネーズを塗り、ポテトチップを挟みます。野菜など水分を含んだ食材はありません。

俊勝さんが「湿らないからポテチの食感が長い時間、維持される。朝に買ってもお昼までシャキッとしています」と胸を張ると、すかさず奥さまの潤子さんが「次の日だって大丈夫よ」と引き継ぎます。

企業秘密かと思いきや、お店の奥の「カルビーポテトチップスしおあじ」がポテチパンの味を決めていることを教えてくれました。

食べてみると、パンの甘みとポテトチップスの塩気が組み合わさり、絶妙な甘じょっぱさです。

追浜の歴史とともに

北原製パン所の創業は昭和13年(1938年)です。

「追浜には旧日本海軍航空技術廠(しょう)などがあってね。私の父親が軍施設や工場に食パンを納品するためにパン屋をはじめたのがきっかけです」と北原さん。

大正5年、横須賀航空隊が開設され、続く大正15年3月に陸上飛行場、昭和14年には日本海軍航空技術廠が完成しました。

昭和20年の敗戦後、米軍が追浜に駐留をしていたときのことを北原さんは覚えています。

「お店の前をキャタピラの車両が走行していました。カービン銃を持った憲兵がパンを買いに来てね。彼らはあんぱんは食べなくて、チョコパンを買っていました」。

ポテチパンは平和の象徴

昭和30年代となると平和な時代が訪れます。追浜は海水浴で賑わいました。ポテチパンが誕生したのもこの頃。海水浴場は自動車工場の建設とともになくなりましたが、一方、ポテチパンは人気となり、今に至っています。

「横浜DeNAベイスターズや県内の高校野球の試合となると、横須賀スタジアムから必ずポテチパンの大量注文が入るんです」と北原さんが話せば、潤子さんが「お店からバイトを2人出して、試合の間はずっと販売しています。毎回完売です」と語ってくれました。

北原製パン所は追浜にて日本の歴史とともに歩んできました。海水浴客のために考案され、高校生、サラリーマンに愛されるポテチパンは平和の象徴なのです。

取材日 2024/11/08

製造スタッフの皆さんは深夜1時から作業をはじめ、陽が昇る頃には帰宅するため、取材時には閑散としていました。

近所の小学生たちからのメッセージが店内に貼られています。

横須賀市の市史にはコークスが使われていた記録も残されていました。

Writerしゅんどう

三浦半島在住。「カピバラ写真展」をよこすかポートマーケット、ソレイユの丘などで開催し、自身はカピバラ紙粘土の造形、カピバラ絵本制作を行っている。

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