お湯を静かに注ぎ込むと、魔法のようにふわっとした泡が舞い上がります。この瞬間、コーヒーの香りが空気を満たします。
まずはコーヒー豆に少量お湯を注ぎ、約20秒蒸らします。
その後、中心に小さく「の」の字を描くように、数回に分けてゆっくりとお湯を注ぎます。周囲には自然と土手ができますが、その美しい形を崩さないことが肝心です。
全てのお湯が落ち切る前にドリッパーを外すことで、コーヒーの風味を引き出すことができます。
深く息を吸い込むと、焙煎された豆の芳醇な香りが鼻をくすぐります。口に含むと、柑橘系のフルーツを思わせる酸味と濃厚な甘みと深いコクが広がります。華やかな一杯は日常の喧騒を忘れさせてくれる、至福のひととき。
世界中には多彩なコーヒー豆が存在し、それぞれの産地や種類によって独自の風味が楽しめます。さらに、同じ豆であっても焙煎度によってその味わいは大きく変化します。
焙煎によってその味わいが変化するコーヒーは、一つの芸術作品。その”芸”という漢字を上から読むと”サニム”になることから屋号に決定しました。
京急久里浜駅から徒歩3分、久里浜商店街に自家焙煎珈琲サニムがあります。
同商店街に店を構える、江戸時代から続く製茶会社 はしもと茶鋪のコーヒー事業として開店しました。
「お茶の製造は多くの複雑な工程を経て完成させます。コーヒーは火加減だけの一工程です。その頃の既存の焙煎屋を見学して即、焙煎機を買って始めました。当初は失敗もしましたが、製造の面白さが勝りましたよ」と社長 橋本篤一郎さんは話します。
世界のストレートコーヒーやオリジナルブレンドコーヒーなど約50種類のコーヒーを展開しています。大量生産の商品は静岡にある工場で焙煎するほか、8年前に導入した自家焙煎機で店内で焙煎を行います。
創業約40年、地元客やリピーターから愛される理由は、焙煎直後の新鮮さとコストパフォーマンスの良さに加え、長年培った焙煎技術にあります。
現在は、店主の水野泰弘さんと妻 早知子さんのご夫婦で営業しています。
豆の焙煎時間は約20分。最初は中火で豆の水分を飛ばし、その後、火力を強めます。青っぽい豆の色が変わると同時に、香ばしい香りへと変化します。この香りを焼き芋と間違えてお店に入ってくるお客様もいるのだとか。
焙煎が終わると一気に豆を冷ましていきます。
「味が落ち着つく焙煎後2,3日から1週間後が飲み頃です。焙煎したての豆と全然味が違うので、変化を楽しむのも楽しいですよ」と教えてくれました。
コーヒーは嗜好品のため、人によって好みが違います。
お客様には酸味・飲みやすさ・苦味など好みを伺って提案するほか、好みに合わせたオンデマンド焙煎も行っています。
個人のお客様だけではなく、サニムの豆を取り扱う飲食店も増えています。
「”サニムのコーヒーは香りがいい。やっぱり、ここのがおいしい”という言葉に支えられてきました。最近は、これまでにないほど豆の価格が高騰していますが、お客様にとって、まろやかで飲みやすいコーヒーを提供し続けること、そして日常的に気軽に楽しんでいただける価格を守ることを大切にしています」と笑顔で話します。
ペリー来航の地にちなんだ黒船ブレンド(500g 入 1728 円)や季節のブレンド(200g入 864円)はベストセラー商品。
世界各地の豆の個性が焙煎の過程で新たな表情を見せています。香りや味わいのバリエーションが広がるコーヒーの世界をサニムでお楽しみください。
取材日 2025/3/20
※掲載されている商品・情報は取材時点のものであり、変更される場合がありますのでご了承ください。
Information
自家焙煎珈琲豆サニム
住所 神奈川県横須賀市久里浜4丁目14-1
電話番号 046-834-1117
営業時間 10:00〜18:00
定休日 水曜日
アクセス 京急久里浜駅から徒歩3分
URL https://sanimu.chashinan.com
Writerうみのとなり
ライター歴5年 「横須賀っていいな」「行きたいな、住みたいな」と思ってもらえる情報を発信しています。 地元の美しい自然・歴史・地域のあたたかさと魅力を伝えたい!Yahoo!ニュースライター 500件以上取材実績あり。地域クリエイター月間MVA2024年11月、7月、2023年7月連続受賞。
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