【横須賀】四代目水谷さんが引き継いだ「精栄軒」の100年変わらない黒船サブレ

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【横須賀】四代目水谷さんが引き継いだ 「精栄軒」の100年変わらない黒船サブレ

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Update2025.02.26

和菓子屋に並ぶ「洋」な菓子

明治43年創業の老舗和菓子屋「精栄軒」は、江戸時代から貿易や造船業、商業で賑わっていた浦賀の地にあります。

一見すると伝統的な和菓子屋ですが、そのラインナップの中にはプリンやマドレーヌといった洋菓子も混じっています。

100年以上愛され続けている「黒船サブレ」

中でも特に人気なのが、創業当初から今もつくられ続けている「黒船サブレ」(130円・税込)です。浦賀の歴史を象徴するような黒船の形で、中央には外国の蒸気船の推進用外輪が型押しされています。

サブレのさくっとした食感に加え、バターの甘さが口の中に広がる素朴な味わい。小麦粉、卵、バター、砂糖といたってシンプルな配合は、開発以来一切変えていないのだとか。

「このサブレは創業者である曾祖父が、バターが出回り始めた当時の流行にあわせてつくったんだと思います。伝統的な和菓子を代々守っていくというよりも、その時代にあったもの、人々が求めるものを創作していくのが、浦賀の気質なんですよね」と四代目の水谷さんは語ります。

かつての国際貿易港・浦賀に根付く「挑戦する」気質

浦賀は鎖国まで西洋文化にいち早く触れられる流通の中心地であり、流行の発信地でもありました。だからこそ浦賀には、“新しいものが出たら、まずは試してみる”という挑戦心が根付いたようです。

精栄軒も例に漏れず、水谷さんは先代から精栄軒が横須賀市内でいち早く生クリームを使った店だと聞いていたそうです。

そんな浦賀の気質は、脈々と現代にも受け継がれています。

「代々の店主たちのように、私は私で新しい材料を入れつつ、ちょっと驚きのあるような創作菓子をつくりたいと考えています。一方で、『黒船サブレ』のようにお客さまに永く愛される味となれば、そのまま残していきたいですね」

そしてサブレに視線を落とすと、水谷さんはぽつりと「これはやっぱり変えられない」と呟いたのでした。

かつての浦賀の風景に想いを馳せながら、明治そのまま当時の味わいをぜひお楽しみください。

取材日 2025/1/17

※掲載されている商品、価格、情報は取材時点のものであり、変更される場合がありますのでご了承ください。

本店のある浦賀通りはかつて商店街の中心地でした。江戸時代から代々続く商店も多く、創業100年以上の精栄軒でさえも、当時周りからは「新しい家」と言われていたそう。

歴史が景色に溶け込む浦賀。精栄軒のすぐ裏手には、平清盛に敗れて伊豆国で配流の身だった源頼朝が源氏復興を願った叶神社も。

ペリー上陸の様子を描いたシャドーアート。浦賀の歴史を感じられます。

バターケーキに白あんを入れたり、梅を入れてみたり、“美味しい”驚きが詰まった精栄軒のお菓子。

一升餅から、人生の節目を祝うお菓子として、地元の方々に愛され続けています。

Writer小林有希

東京在住フリーライター/Web編集。2016年にアパレル企画兼バイヤーを辞めて、ライターに。 紙、WEB問わず企業PR、ファッション、アート、地域、建築、教育、働き方など多分野で執筆中。

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