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横須賀の地元に愛されるソウルフード「ポテチパン」をご存知ですか?その歴史は古く、きっかけは50年ほど前。横須賀のお菓子工場から市内のパン屋さんたちへ相談が持ち込まれました。「大量に出るポテトチップスのカケラを利用して新商品を作れないか」というのです。
当時は多くのパン屋さんがポテチパンに挑戦し、色々な種類のポテチパンが生まれたそうです。時は流れ、当時相談が持ち込まれたパン屋さんの中で、今でも歴史を守っているのは3店舗。ポテチパンの具に使うポテトチップスの種類や合わせる食材も3店それぞれ独自の味で販売しています。横須賀に訪れたらぜひ食べていただきたいソウルフード。街歩きでポテチパンの食べ歩きも楽しいですね。
北原製パン所の「ポテトチップサンド」(210円)は、ホットドッグ用の自家製パンに自家製マヨネーズを塗り、ポテトチップを挟みます。野菜など水分を含んだ食材はありません。
店主の北原俊勝さんが「湿らないからポテチの食感が長い時間、維持される。朝に買ってもお昼までシャキッとしています」と胸を張ると、すかさず奥さまの潤子さんが「次の日だって大丈夫よ」と引き継ぎます。
企業秘密かと思いきや、お店の奥の「カルビーポテトチップスしおあじ」がポテチパンの味を決めていることを教えてくれました。食べてみると、パンの甘みとポテトチップスの塩気が組み合わさり、絶妙な甘じょっぱさです。
横浜DeNAベイスターズや県内の高校野球の試合となると、横須賀スタジアムから必ずポテチパンの大量注文が入るという、地元の学生、サラリーマンに長年愛されるポテチパンです。
横須賀市の国道沿いにある、黄色いファサードが目印の「中井パン店」。創業70年以上の歴史を持つ、昔ながらのパン店です。一番人気の、ポテトチップスを挟んだ「ポテチパン」(194円)は平日で1日平均300個、土曜日には400~500個が売れるといいます。
中井パン店のポテチパンは、手作業で丁寧に角切りにし水抜きしたキャベツと、ゆでて小さめにカットしたニンジン入り。マヨネーズや塩コショウで味を調えます。主役のポテトチップスは、カルビーのうすしお味。砕いて入れたあとに、たっぷりと青のりを加えて風味豊かに仕上げます。
さらにパンにもひと工夫。ポテチパンはコッペパンが一般的ですが、中井パンでは半月形に焼き上げたバンズを採用しています。「生地の内側に薄く油を塗ってから焼くと、包丁を入れずともパンが開くんですよ」と中井さん。開いたパンに辛子マヨネーズを塗ってから、具材をふんだんに挟み込みます。ポテトチップスのほど良い塩気と青のりの風味が素朴なパンによく合い、もう一口と食べ進めたくなるおいしさです。
ワカフジベーカリーの「ポテチパン」(175円)の特徴はなんといっても大きめのポテチ。「大きく砕き、形が残るようにしています」と社長の弓削力(ゆげ つよし)さん。コイケヤ「ポテトチップス うすしお味」を使用しています。
たっぷりのキャベツと自家製マヨネーズをトッピング。キャベツは三浦半島産のもので、ポテチパンをはじめとして、できるだけ地元の食材を使うようにしているとのこと。「最初はドッグパンにポテチだけ入れていたようなんですが、昭和60年くらいにいろいろ工夫して、自家製マヨネーズとキャベツを挟み込む形におさまったと聞いています」。
ボリュームたっぷりのひと品ですが、お値段が安すぎるのでは……?
「うちのパンはほとんど200円前後にしています。地元の中・高校生が気軽に買える値段を維持するようにしています。500円で2個買えるくらいがちょうどいい。え、儲け? 店頭販売で儲けはほとんどありません」と笑います。
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