ジュワッと焼かれた肉厚ベーコンが、パリッと香ばしい音とともに香り立ち、ワンプレートの中央で存在感を放つ。添えられた目玉焼きが、スパイス香る牛すじブイヨンのカレーに加わり、さらに食欲をそそります。

横須賀・三笠公園そばに2025年3月に誕生したカレー専門店「SPOON YOKOSUKA」の看板メニュー「グリルドベーコンエッグカレー」。アメリカンダイナーのような店内で、地元の人々や米軍関係者にも人気が高いこの一皿は、一度食べたら忘れられない特別な味です。

オーナー兼シェフの古田啓介さんは、生まれも育ちも横須賀。建築士としてのキャリアを持ちながら、夜は飲食店で修行を重ねる日々を６年続けてきました。

料理に目覚めたきっかけは、幼い頃、祖父におつまみを作って喜ばれた経験。「人が喜ぶ顔が見たい」という思いが、料理の道へと導いたと振り返ります。

名古屋への転勤時に古田さんが感じたのは、「地元の味は、日常的に食べられている」ということ。横須賀名物の“海軍カレー”は観光色が強く、地元の人が足を運ぶ機会が少ないと。

そこで目指したのが、“毎日でも食べたくなるようなカレー”。たどり着いたのが、牛すじや果物、野菜を6時間煮込んで仕上げる「牛すじブイヨン」をベースにしたオリジナルカレーです。

クミンやカルダモンを中心に、複数のスパイスを絶妙に調合。やさしく奥深い味わいは、1年半の試行錯誤から生まれた、クセになるおいしさです。

名物の「グリルドベーコンエッグカレー（1500円税込）」は、サラダ・ポテト・ドリンク付きのランチセットで提供。主役は、鉄器で焼き上げた厚切りのベーコンです。

老舗精肉店・古敷谷畜産のミートマルシェから仕入れたベーコンは、脂を程よく落としながら旨みを凝縮。そこにスパイシーでコク深い牛すじブイヨンのカレーソースが絡み、口の中で肉の旨みが重なり合う、贅沢な一皿です。

黄身がとろける目玉焼き、下茹＆手割りでのひと手間をかけたザクザク食感のフライドポテトも名脇役。常連客がこれも目当ての一つというのも納得です。

「SPOON YOKOSUKA」は、観光客だけでなく、地元の人が普段使いしたくなるカレー店。年配のご夫婦や子連れファミリー、外国人客まで、幅広い世代に愛されています。

「料理と同じくらい、お客様への配慮も大切にしている」と語る古田さん。オープンキッチンからは、調理の手元とともに、お客様を見守るあたたかな眼差しが感じられます。

取材日　2025/06/3

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