【三浦】ジャムのような甘さで予約殺到!樹上で完熟させる”濃厚いちじく”「大井農園」

Release2025.10.03

Update2025.10.03

【三浦】ジャムのような甘さで予約殺到!樹上で完熟させる”濃厚いちじく”「大井農園」

Release2025.10.03

Update2025.10.03

「せっかくお金を出していただくからこそ、本当に美味しいものをきちんと収穫してお届けしたいです」

そう話すのは、この地で代々農業を営む大井さん。彼が育てるいちじくは、一度食べたら忘れられないと口コミで評判が広がり、予約だけで完売することも珍しくありません。

その美味しさの秘密は、徹底した栽培方法へのこだわりにありました。

こだわりの「樹上完熟」

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「うわぁ、これ絶対美味しいですよ!」

皮が裂け(クラックが入り)、指で触れると崩れそうなほど柔らかくなった状態が完熟のサインです。

スーパーに並ぶいちじくの多くは、流通のためにまだ青く硬い状態で収穫されます。

しかし、大井農園の大井さんは「本当に美味しいもの」を届けるため、いちじくが木の上で完全に熟す「樹上完熟」にこだわります。

「いちじくは『樹上のジャム』だと言われています。でも、ジャムになる前に収穫されているから、本当の味を知らない人が多い」

実際に完熟いちじくを口に入れると、その言葉の意味がよく分かります。

口に入れた瞬間、とろりとした果肉から蜜があふれ出し、まるで煮詰めたジャムのような濃厚な甘さと芳醇な香りが広がります。

「甘やかさない」育て方

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150坪ほどの広さの畑には、5種類のいちじくが植えられています。

濃厚な味を生み出す秘訣は、有機肥料へのこだわりのほか、水やりの方法にもあります。

木には、苗を植えた時以外は基本的に水を与えません。

「砂糖水に水を足したら薄まりますよね?それと全く同じで、水を控えることで味が濃くなります。厳しい環境で育てることで、乾燥に強い木にもなります」

あえて“甘やかさない”ことが、いちじく本来の生命力を引き出し、凝縮された味わいを生み出しています。

40代にわたって続く、歴史ある大井家

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三浦市初声和田にある「大井農園」は農園主である 大井慎一郎さんと、母の美代子さん、妻の早霧さん、娘の玲央奈さんのご家族で営んでいます。

鎌倉時代から続く大井家は、大井さんで40代目です。高校卒業後、家業を継いでから25年間、農業を続けています。

「小学校1年生の時に埋めたタイムカプセルを数年前に掘り起こしたら、『百姓になってお金をいっぱい稼ぐ』と書いてありました」と屈託のない笑顔で話します。

健康のために始めたはずが、いつしか夢中に

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大井農園では大根やキャベツ、メロンやスイカなどの季節野菜や果物も栽培しています。

しかし、ヘルニアを患っていた大井さんにとって、中腰での作業は身体的に非常につらいものでした。そこで目をつけたのが、上へ上へと伸びていくいちじくでした。

「これなら腰に負担をかけずに、収穫ができる」

いちじくの栽培について教えてくれる人がいなかったため、独学で試行錯誤を繰り返しました。

気づけば300種類以上の品種に

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「いちじくは、品種や収穫時期が少し違うだけで、味が全く変わります。桃やマスカット、ベリーのような味がしたり、バナナのようにねっとりしたり。本当に面白いですよ」

葉の形も、切れ込みが深いものから丸いものまで様々。果実の色も黒、白(緑)、縞模様と多彩で、その奥深さが大井さんを惹きつけてやみません。

現在、畑には117種類ほどの品種が植えられ、自宅のコレクションも合わせると300種類ほど栽培しています。

「美味しい」を評価される仕組みを作りたい

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「せっかくこだわって作っても、消費者にきちんと評価されなければ意味がない」

こだわりの果物を消費者に届けるために、生産、加工、販売までを一貫して行う6次産業化を目指しています。そして、もっと品種を増やし、いつか『世界中のいちじくの詰め合わせ』を販売したいという夢もあります。

大井さんのいちじくは1パック600円で、直売所で購入できます。洋菓子店や飲食店の予約で完売することもあるとのこと。確実に手に入れたい方は、事前に予約することをおすすめします。

一度食べれば、誰もがその違いに驚く大井さんのいちじく。そこには、美味しさへの純粋な探求心と、食べる人への真摯な想いが詰まっています。

取材日 2025/9/2

※掲載されている商品・情報は取材時点のものであり、変更される場合がありますのでご了承ください。

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一つひとつ丁寧に袋をかけるのは、希少品種のデリケートな果実を守り、最高の状態で収穫するためです。

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水やりは大事な作業。水が溜まるまで注ぎ、水が抜けたら、また溜まるまで注ぐ、という作業を3回繰り返します。

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収穫したいちじくは、丁寧に拭き取り、チェックしてパック詰めします。

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皮も果肉も白っぽい希少品種。フルーティーな香りと味です。

Writerうみのとなり

ライター歴5年 「横須賀っていいな」「行きたいな、住みたいな」と思ってもらえる情報を発信しています。 地元の美しい自然・歴史・地域のあたたかさと魅力を伝えたい!Yahoo!ニュースライター 500件以上取材実績あり。地域クリエイター月間MVA2024年11月、7月、2023年7月連続受賞。

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