【連載】三浦野菜の作り手を知り、魅力を伝えるデザインプロジェクト 本春キャベツの生産は、三浦が日本一

Release2025.10.02

Update2025.10.02

【連載】三浦野菜の作り手を知り、魅力を伝えるデザインプロジェクト 本春キャベツの生産は、三浦が日本一

Release2025.10.02

Update2025.10.02

地元良品JOURNEY三浦半島篇と鎌倉のテキスタイル研究所Casa de pañoとのコラボ企画「三浦野菜デザインプロジェクト」。三浦野菜の作り手や届ける仕事に携わる人にインタビューを行い、その魅力を「もよう」で表現します。完成したデザインはテキスタイルとなり、地元の人にも訪れた人にも長く愛される布製の日用品に展開します。

デザインは、旅行ガイドブック「ことりっぷ」を始め、広告や絵本などのイラストレーションを手掛けるイラストレーターのスズキトモコさんが担当します。

今回は、三浦市内に広大な畑を持つ森勘農園さんの本春キャベツの収穫に密着しました。

1日に約8,000個もの本春キャベツを収穫する森勘農園の森さん

春本番を迎えた4月上旬の三浦を訪れると、畑のあちらこちらで、手作業で春キャベツを収穫し、一玉ずつ丁寧に段ボールに詰める農家さんの姿がありました。

「これはまだ早いよ。キャベツの上を触ると分かるよ。まだ、やっこいでしょ。」

大きさと触った時の柔らかさで、ベストな収穫タイミングを見極めていることを教えてくれたのは、約9町(サッカー場約9個分)もの広大な畑を持つ森勘農園を営む森さんです。

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三浦半島のキャベツは、季節のバトンをつなぐリレーのように、時期ごとに品種を変えて出荷されていきます。11月初旬の「冬系キャベツ」から始まり、「早春キャベツ」へとつながり、そして3月中旬から4月中旬のわずかな時期にしか味わえない「本春キャベツ」が登場します。その後は「中早生キャベツ」にバトンが引き継がれます。

今回収穫していた、金系201号という品種の「本春キャベツ」は、三浦を代表する特産品で、国の指定産地にもなっています。他産地の春キャベツと比べて、柔らかさ、みずみずしさ、そして甘さが際立ち、市場関係者の間では「本春(ほんぱる)キャベツ」と呼ばれ、今年で誕生60周年を迎えます。

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10年前から、寝る前に畑の状態や発育状況について細かく記録を残すことが日課

代々農家を営む森勘農園では、御祖父様の代から本春キャベツの栽培を始め、当時は、今のような段ボールではなく、藁で縛った籠を背負って収穫していたそうです。

「半島に囲まれて冬でも温かい三浦の気候とマッチして、本春キャベツの一大産地になったんだと思うよ。年々作りやすくなってはいるけれど、やっぱり気候に左右される難しさはある。でも、毎年変化があるから、逆に面白いよね。」と、本春キャベツと三浦の土地への愛着をにじませる森さん。

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10年以上にわたり、毎晩欠かさず畑の状態や発育状況を記録し続けていることに加え、海に近い土地だからこそ、地元の漁師さんに天候の情報を教えてもらい、追肥を行ったり、作付けの計画を練り直したりしているそうです。

その努力の積み重ねが実を結び、4月は、なんと1日に約8,000個もの本春キャベツを収穫。午前中に収穫したキャベツは、大きなトラックへ積み込まれ、午後2時ごろには東京の市場へと出発していきます。

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お客さんが喜んでくれるのが、何より嬉しい

子どもの成長と同じように、キャベツも発育状態は千差万別。だからこそ、一つひとつの結球具合を確かめながら、丁寧に手で摘み取っていく「拾い採り」という方法で収穫しています。

本春キャベツの理想の形について尋ねると、
「とんがったのや平べったいのもあるけれど、やっぱり丸くてコロンとしたキャベツが理想かな」と、教えてくれました。

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スーパーの売り場では形の良さが重視されますが、実はどのキャベツも味には大きな差はないそうです。そこで、奥様の美樹さんが外葉を整えて見た目をきれいに仕上げ、ご近所さんに御裾分けをしたり、農園併設の直売所や三浦海岸駅前にある「三浦やさい直売所」で販売しています。

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「せっかく自分たちで作ったものだから、形を理由に捨てるのはもったいない。『三浦やさい直売所』には、都心から新鮮でお手頃な野菜を求めて訪れる常連さんも多く、少しでもお客様に喜んでもらいたいと思って、形を整えてお届けしています。」

取材中、子どもの成長になぞらえて、本春キャベツのことを丁寧に教えてくれた、森さんご夫婦の姿がとても印象的でした。毎年、春の訪れとともに「三浦やさい直売所」に並ぶ、森勘農園の本春キャベツ。愛情をたっぷり受けて育った一玉に、ぜひ会いに行ってみてください。

取材日 2025/04/18

※掲載されている商品、価格、情報は取材時点のものであり、変更される場合がありますのでご了承ください。

本春キャベツの三浦野菜もよう

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この取材を通して、スズキトモコさんがデザインしてくださったのが、こちらの「本春キャベツ」の野菜もようです。

まるでお花のように優しく葉を巻く本春キャベツのもように、その持ち味である柔らかさが表現されています。

ちょうど収穫の時期に畑の周りで咲いていた菜の花をあしらい、一層春らしさが伝わるもように仕立ててくださいました。

この模様が日々の暮らしに溶け込み、長く愛されるものになってほしい。そんな願いを込めて、毎日の料理に欠かせない暮らしの必需品、「キッチンタオル」を作りました。

「グラスグリーン」「モカシン」「ミドルグレー」の3色展開です。

※写真は「グラスグリーン」

イラストレーター スズキトモコ

新潟生まれ、東京都在住。 

武蔵野美術大学卒業後、映像制作会社に勤務したのち、フリーランスに。

昭文社の旅行ガイドブック「ことりっぷ」を始め、広告、キャラクター、教科書や絵本などのイラストレーションを手掛ける。2023 イタリア・ボローニャ国際絵本原画展入選。

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午前中に収穫した本春キャベツを、大きなトラックの荷台に隙間なく丁寧に積み込んでいく様子。

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森勘農園の直売所は、近所の子どものおつかいスポットとしても親しまれているそう。

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「モカシン」

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「ミドルグレー」

Writerいとうまいこ

大学卒業後、大手家電メーカーで商品企画や展示に関わる。そのときの経験からテキスタイル(布)に関わる仕事をしたいと考え、2023年にテキスタイルのギャラリー「Casa de paño」を鎌倉で開業。展覧会やワークショップの企画に加え、三浦半島の豊かな自然や生き物、暮らしをモチーフにした布製品の商品企画を行っている。本企画は、三浦半島で暮らす人・営む人へのインタビューをもとに、もようのデザインを通して地域の魅力を再発見し共有する試みです。

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