【横須賀】100年前のミシンと兄弟が仕立てる等身大の服「BROSS FACTORY SHOP」

Release2025.11.21

Update2025.11.21

【横須賀】100年前のミシンと兄弟が仕立てる等身大の服「BROSS FACTORY SHOP」

Release2025.11.21

Update2025.11.21

横須賀・上町の坂の上にある「BROSS FACTORY SHOP」。

兄弟が営むこの工房では、100年前のミシンを相棒に、一着ずつ丁寧に服を仕立てています。静かな店内に並ぶ洋服やレザーアイテムからは、“手で作ること”の豊かさが伝わってきます。

流行よりも、体に馴染む「日常の一着」を

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BROSSの服は、一見シンプルでありながら、どこかヨーロッパの香りが漂います。

生地は都内や専門業者から仕入れ、肌触りや質感を確かめながら選んでいるそう。ベルギーリネンを使ったシャツなど、素材選びにもこだわりがあります。

「高級な素材だから選ぶわけではありません。手に取ったとき、肌が覚えている“気持ちいい”と思えるものを使いたいです」と店主の徳永さんは話します。

“自分らしく履ける” BROSSのパンツづくり

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パンツは、店主自身が好きな履き心地を追求したパターンで制作しています。

特徴的なのは、ウエストをきつく履かず、ベルトで絞って履くというスタイル。体にフィットしながらも、ギャザーがよるようなルーズなシルエットが生み出されます。

切り替えを縫い合わせることで、生地をクシュッとさせ、膝を前に出す立体的な構造を作り出すなど、独自の工夫が凝らされています。

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縫製の難しいTシャツのような伸縮性のある生地も丁寧に縫い上げていきます。

「生地が少しガタつくこともありますが、それも“味”だと思っています」と徳永さんは笑います。

兄弟でつくる、上町の小さな工房

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横須賀中央駅から平坂を上った上町に、洋服、革製品を製作する工房併設のショップ「BROSS FACTORY SHOP」があります。

店主である兄・徳永航之介さんと弟・竜之介さんの2人で立ち上げました。

当初は理容室の2階を間借りしていましたが、「もっと街の人が入りやすい場所に」と考え、2022年に現在の路面店へ移転しました。

お店の名前「BROSS(ブロス)」は兄弟(ブラザー)に由来しています。

ロゴデザインや内装づくりも、弟と二人で手がけました。

鉄格子を思わせる大きなガラス窓、アンティーク家具など、店のすみずみまで“手仕事”の温かさが息づいています。

服づくりは、独学の旅から

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地元、横須賀出身の航之介さんは、高校卒業後は音楽の専門学校で音響を学びましたが、コロナ禍で業界が一変。

「自分が本当に好きなことを形にしたい」

そして選んだのが、もともと興味のあった洋服作りの道でした。

独学の最初の一歩は、「既製の服をばらして構造を理解すること」でした。

「本を読むよりも、実物を分解して覚えた方が早い」と考え、実際に自分の服をほどいて型紙を取り、その形を再現することでパターンの仕組みを手で覚えていきました。

相棒は、100年前のアメリカ製シンガーの足踏みミシン

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そして制作の相棒は、100年前のアメリカ製シンガーの足踏みミシン。

知人が所有していたこのアンティークミシンを見て、「こんなにかっこいいものがあるなら、自分もやってみたい」と強く惹かれたそうです。

そうした“好き”という気持ちと、“かっこいいと思える道具で作りたい”というこだわりが、深く洋服作りの世界へと導いていきました。

手と足の感覚で速度を調整しながら、縫い上げていきます。

海外へ届けたい、横須賀発のものづくり

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「いつか、海外で自分の服を販売してみたいです」

各地での展示会を視野に入れつつ、イギリスやフランスなど海外で販売することを目標にしています。

「自分の作った服が、海の向こうでどんなふうに受け入れられるのか見てみたい」と話す表情には、静かな情熱が宿っています。

100年前のミシンで、今日も変わらず一針ずつ縫い上げる。

ボタンを一つつけるにも、手で糸を通す。

その姿は、効率を追う時代の中で“手間を惜しまない”という贅沢な選択を続ける職人そのもの。

「着る人が気持ちよくいられる服を作りたいです」

大切にしているのは、流行ではなく着心地とシルエット。

毎日袖を通したくなるようなあなただけの“日常に寄り添う一着”を見つけにお店に訪れてみてください。

取材日 2025/9/8

※掲載されている商品・情報は取材時点のものであり、変更される場合がありますのでご了承ください。

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弟・竜之介さんが製作したフランス海軍のダッフルバッグを素材の一部を利用して作ったショルダーバッグ。ファッション性も高く、機能性も抜群です。

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ロゴは「BROSS」のアルファベットが全て入っています。

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店内からは、上町の穏やかな風景を眺めることができます。

Writerうみのとなり

ライター歴5年 「横須賀っていいな」「行きたいな、住みたいな」と思ってもらえる情報を発信しています。 地元の美しい自然・歴史・地域のあたたかさと魅力を伝えたい!Yahoo!ニュースライター 500件以上取材実績あり。地域クリエイター月間MVA2024年11月、7月、2023年7月連続受賞。

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